労災認定における労働時間③
労災では、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等」または「精神障害等」の労災認定時に,残業時間など労働時間の把握が重要となります。
労災認定における労働時間とはどのような計算方法で行われるのでしょうか。
労災認定は、過去1月間、2月間、・・・6月間の1月平均時間外労働時間数がおおむね100時間ないし80時間を超えているかどうかが判定基準となります。
まず、過去1月間、2月間、・・・6月間の起算点は、その病気の発症日となります。
歴月でも1賃金支払期の初日でもなく、恣意的に決定することはできません。
発症日は、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」によれば、以下のとおりです。
「臨床所見、症状の経過等から症状が出現した日を特定し、その日をもって発症日とすること。」
「なお、前駆症状(脳・心臓疾患発症の警告の症状をいう。)が認められる場合であって、当該前駆症状と発症した脳・心臓疾患との関連性が医学的に明らかとされたときは、当該前駆症状が確認された日をもって発症日とすること。」
次に、具体的計算手順は、以下のとおりです。
① 発症日を特定する。
② 発症日を起算点とし、過去1週間毎の総労働時間を集計
③ ②-40時間をし、その週の時間外労働時間数を算出
④ ②および③により、過去4週間の時間外労働時間数を算出
⑤ 過去31日目から5日間の間の休日数に応じて、残り2日間の時間外労働時間数を算出
⑥ ④+⑤により、過去1ヶ月間の時間外労働時間数を算出
⑦ ⑥がおおむね100時間を超えているかどうか?を判定
⑧ 発症前2ヶ月、3ヶ月・・・6か月間の時間外労働時間数より1月当たりの平均時間外労働時間数を算出
⑨ ⑧がおおむね80時間を超えているかどうか?を判定
このような労災認定時の労働時間の把握には、専門家の知識などが必要となります。
労災など労働トラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。