個人再生について
個人再生とは?
もうひとつの債務整理方法「個人再生」は、働いている人にとっては自己破産よりも資産や財産を残しやすい方法であることから、自分、家族の生活が守られやすい方法と言うことができます。
「個人再生」の条件とは?
個人再生は、裁判所に申し立てることによって借金を減額する方法です。しかし、誰にでも適用されるわけではなく、債務者に安定的な収入があることが条件です。
・個人再生ができる人 → 安定した収入がある人(収入がある人であれば誰でもできます)
・個人再生ができない人 → 収入がない人(無職の方は個人再生ができません)
基本的には、借金を減額したうえで、原則3年の分割払で支払うということになります。
こんな人におすすめの債務整理方法です
- ローンを払い続けている住宅を残したい人(詳しくは「個人再生と住宅ローン」をご覧ください)
- 自己破産したくない人
- 過去の借金のうち利息を払いすぎたこと(過払い金)がない人
- 任意整理(債権者と示談によって借金を免除または減額してもらうこと)ではメリットがない人
個人再生した場合、借金はどれくらい減額される?
個人再生を手続きした場合、借金はその額に応じて以下のように減額されます。
100万円未満 | → | 借金全額 |
100万円以上500万円未満 | → | 100万円 |
500万円以上1500万円未満 | → | 借金額の5分の1 |
1500万円以上3000万円未満 | → | 300万円 |
3000万円以上5000万円以下 | → | 借金額の10分の1 |
個人再生のメリット・デメリット
個人再生は、債務者にとっていいことばかりではありません。
メリットとデメリットの両方があります。
ここで整理してみましょう。
個人再生のメリット
- 住宅ローンをそのまま払い続けて、住宅を残すことができます。
- ギャンブルによる借金でも個人再生手続きをすることができます。
- 給料を差し押さえられている場合、差押えを停止することができます。
- 警備員、保険外交員など一定の職業に就けないなどといった、制限を受けることはありません。
個人再生の4つのデメリット
- 保証人を立てた借金の場合、保証人に請求が行くことがあり、迷惑をかけてしまうかもしれません。
- 残った借金の返済が途中で頓挫すると、これまでの手続き自体が無駄になってしまいます。
- また、残った債務に関して一括支払いを求められることもあります。
- 債権者から同意が得られずに個人再生手続きが頓挫することがあります。
- 一定期間(5~7年)信用情報機関(いわゆる“ブラックリスト”)に登録され、あらたに借金をしたり、クレジットカードを作ったりすることができなくなります。
個人再生手続きをするかどうか、ご自分の置かれた状況と照らし合わせて慎重に検討することが重要です。
個人再生と自己破産
収入がない無職の人は自己破産を選択する以外にありません。また、自己破産の場合、「免責不許可事由」という条項に引っかかると免責が下りず借金を精算できませんが、個人再生ならその理由を問われることはありません。
個人再生と自己破産。残せる資産の限度額にも違いが!
自己破産の場合は原則20万円以上の財産の所持を認められませんが、個人再生の場合は借金総額の5分の1もしくは100万円までの財産の所有を認められています。
ローンよりも住宅資産価値のほうが大きい場合は注意
住宅ローンが残っている場合『住宅ローン特別条項』を利用すれば住宅を残せますが、住宅ローンが残っていない場合は処分対象になるので注意が必要です。
家計簿(家計収支表)の提出が義務付けられる?!
個人再生は申し立てが通るまで裁判所へ家計簿の提出が義務付けられています。
これは再生計画に則って生活していけるかのテストになるので、無駄遣いなどのないように規則正しい生活を送らなければいけません。
個人再生の手続きは弁護士へ依頼します
個人再生の手続きは普通、弁護士に依頼して手続きをすることになります。
まず、弁護士に相談してから、裁判所に個人再生の申立てをするまでに概ね1か月から2か月かかります。
次に、裁判所への個人再生の申立後については、大阪地裁や神戸地裁の個人再生では、標準スケジュールでは概ね100日で手続きが終了する流れとなっています。
裁判所への個人再生申立後の基本的な流れ
(1)個人再生の開始決定
(2)債権届出
(3)異議申述
(4)再生計画提出
(5)書面決議
(6)再生計画の認可決定
個人再生手続の弁護士費用
当事務所の場合、40万円となっています。
※消費税、印紙代などの実費は別途。
まとめ:個人再生を検討すべき人
まとめると、
・住宅を残したい人
・自己破産したくない人
・過去の借金のうち利息を払いすぎたこと(過払い金)がない人
・任意整理(債権者と示談によって借金を免除または減額してもらうこと)ではメリットがない人
こんな人は個人再生を考えてみてはいかがでしょうか。
当事務所の弁護士は、理論と実践の両面で、個人再生をはじめとした債務問題に精通しています。
- 関西学院大学のロースクールで、労災保険制度を含む社会保障法や行政法の講義を担当していること
- 約20年間にわたって公務員としての勤務経験があること
このような経験と実績をもとに、「まじめに生きている人の正当な権利を守る」をモットーに、被災労働者の立場に立って対応することを心がけています。