離婚時年金分割

熟年離婚イメージ

離婚時年金分割制度とは

近年,中高齢者の比較的婚姻期間の長い夫婦の離婚件数が増加しています。

しかし,離婚をすると,いわゆる現役時代の男女の雇用の格差等を背景として,夫婦双方の年金受給額に大きな格差が生じる場合があります。

たとえば,厚生年金保険の場合,老齢厚生年金等の保険給付(報酬比例部分)の額は,被保険者の給与(標準報酬)を基礎として算定されることから,夫婦が離婚した場合において,就労期間がないか,短期間であったり,低賃金であった妻(又は夫)は,高齢期において十分な所得水準を確保することができないことになります。

こうした中で,離婚する際,婚姻期間中に夫婦が加入していた厚生年金の保険料給付実績のうち,報酬比例部分(基礎年金部分は対象外とされています)について,多い方(多くは夫)から少ない方(多くは妻)へ分割する制度が,「離婚時年金分割制度」です。

なお,年金分割の対象となるのは,婚姻期間(対象期間)中の被用者年金の保険料納付実績(厚生年金では保険料納付記録,共済年金では掛金払込記録)です。当事者が受給している年金額の一部を他方にわけるものではありません。

離婚時年金分割制度には,「合意分割」と「3号分割」の2つがあります。

合意分割

(1)合意分割とは

合意分割とは,分割割合を夫婦の合意によって決めるものです。分割割合の上限は,50パーセント(半分)までとされています。

なお,分割の対象となるのは,夫婦双方の結婚期間中の標準報酬総額の合計額であり,夫婦の一方の対象期間標準報酬総額ではありません。

わかりやすいように,具体例で示すと,例えば,夫と妻の結婚期間中の標準報酬総額が分割前にはそれぞれ 8000万円と2000万円であったとします。

この場合,案分割合を50%とすると,分割により夫から妻に割り当てるのは,4000万円ではなく3000万円となります。

夫婦双方の対象期間標準報酬総額の合計額(1億円)に対する,妻の分割後における対象期間標準報酬総額(5000万円)の割合が50%となるのです。

分割割合

合意分割は,制度上,その範囲が最大で50%であることから,例えば30%といった分割も可能なように思えます。

しかし,離婚裁判実務において,50パーセント以外の合意がなされることはほとんどありません。
というのは,当事者で合意できずに,家庭裁判所の審判へ移行した場合,裁判所は,ほとんど50パーセントと判断されるからです。

したがって,基本的には50パーセントの分割となると考えてください。

なお,別居期間が長期間に及んでおり,かつ,その原因がもっぱら請求者にあるような特段の事情がある場合は,審判においても50パーセント以下の案分割合が認められると思われますが,そのようなケースは稀であると言ってよいと思われます。

請求期限

年金分割は,必ず離婚と同時に行わなければならないわけではありません。

制度としては,離婚後2年以内であれば,請求が可能です。

もっとも,離婚後に,再度紛争となるのを避けるためにも,離婚の条件として同時に行なっておくべきです。

3号分割

3号分割とは

3合分割とは,第3号被保険者の請求に基づいて,第3号被保険者期間について,第2号被保険者の厚生(共済)年金保険料の納付済み記録の2分の1を,第3号被保険者に分割する制度です。

第2号被保険者…原則として,民間企業のサラリーマンや公務員,私立学校の教職員のことです。

第3号被保険者…第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(例えば,専業主婦)で,年収が130万円未満の人のことです。

分割割合

3号分割の場合,合意分割と異なり,相手方(第2号被保険者)の同意は必要ありません。

請求すると自動的に分割されます。

また,分割割合は2分の1です。

対象期間

平成20年4月以降の第3号被保険者期間のみです。

このため,婚姻期間のすべてが対象となる合意分割と比べて,メリットが少なく,実務上はあまり利用されていません。

請求期限

原則として,離婚日の翌日から2年です。

年金分割の手続き

請求すべき按分割合を定めるに当たっては,按分割合の範囲を正確に把握する必要があります。

そこで,夫婦であった者の双方又は一方の講求により,厚生労働大臣等が,年金分割請求を行うために必要な情報を提供する制度が設けられています。

情報提供は,「年金分割のための情報通知書」(以下「情報通知書」といいます)という書面で行われます。

また,情報提供の請求をした者のうち満50歳以上の者については,年金分割をしない場合の年金見込額,年金分割をした場合の年金見込額等の情報の提供を受けることができます。

そして,家庭裁判所での離婚調停,審判や離婚訴訟において,「合意分割」による年金分割を求めるためには,それを求める側が裁判所に情報通知書の原本を提出することが必要とされています。

ただ,家庭裁判所の審判等で按分割合が定められただけでは,年金は分割されません。按分割合を定めた審判や判決が確定した後,忘れずに,年金事務所などに対して,年金分割請求の手続きをする必要があります。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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