祖父母が子の監護者となることはできるのか

先日、未成年の子どもを育てる「監護者」に家庭の事情で父母に代わって祖父母がなれるかが争われた審判で、最高裁判所は、初めての判断を示しました。
結論としては、父母以外の第三者は監護者になる申し立てができないというものでした。

監護者とは、子どもと同居をして、子どもの身の回りの世話をして育てるなど養育監護する人のことです。

親権の一部に子を監護する権利=監護権があり、民法では、親権者は子の利益のために、監護と教育をする権利があり、義務を負うと、規定されています。

今回、監護者の指定の申し立てをしていたのは、未成年の孫を養育していた祖母で、孫の母親が再婚したあと、孫と新しい父親との関係が悪いなどとして、みずからが監護者となることを求めました。

大阪家庭裁判所は申し立てを認め、大阪高等裁判所も「子どもの福祉を全うするためには、祖父母なども申し立てができる。子ども自身が父親を強く拒絶している」として祖母を監護者とする決定をしました。

母親と父親の抗告に対し、最高裁は、「子どもの利益は最も優先して考慮しなければならないが、父母以外の第三者が監護者の申し立てができる法令上の根拠はなく、申し立てはできない」という初めての判断を示しました。

そのうえで、家裁と高裁の決定を取り消し、祖母の申し立てを退けました。

また、これとは別の審判で、最高裁判所は、祖父母が孫との面会交流を求めたケースについても初めての判断をしました。

孫の母親が病気で亡くなったあと、母方の祖父母が孫と会えなくなったと申し立てたのに対し、大阪高等裁判所は「父母以外でも子どもの利益にかなうのであれば、面会交流を認める余地がある」とする決定をし、子どもの父親が抗告していました。

これについて、最高裁は、「第三者が面会交流を求める申し立てができるという規定はなく、第三者を父母と同一視することもできない。父母以外の第三者は申し立てができない」という初めての判断を示して大阪高裁の決定を取り消し、祖父母の申し立てを退ける決定をしました。

最高裁は今回の決定で、現在の民法の規定を厳格に捉えて、祖父母などの第三者は監護者の申し立てができないと判断した形です。

子の福祉という観点に立った場合に、この結論が果たして妥当かといえるか疑問があると思います。
原則は父母としても、子どもの事情などを総合考慮して祖父母、他の親族も含めて第三者を監護者とすることも認めてもよいのではないかと思います。
ただ、このような最高裁の判断が出た以上、この問題は立法で解決するしかないと思われます。

子の親権や監護者などを含む夫婦間のトラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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