「小規模個人再生」と「給与所得者個人再生」

個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者個人再生」の二種類があります。
今回は、この2つの個人再生の違いについて紹介したいと思います。

まず、「小規模個人再生」は、収入があれば、給与であれ事業収入であれ、申立ができます。
他方で、「給与所得者個人再生」、会社などに勤務しており、毎月、安定して給与をもらっている人しか申立ができません。

また、支払わないといけない金額の決まりも違います。
まず、両方とも、①100万円、②借金総額の5分の1、③申立者の財産の総額のうち、最も高い金額を払わなければいけないというルールは共通です。

ただ、「給与所得者個人再生」の場合、これに加えて、可処分所得(収入から税金、社会保険料、居住地や扶養家族の数から計算される必要生活費などを引いた残りの2年分)以上を払わないといけないというルールがあります。
このため、通常は、「給与所得者個人再生」を選択した方が、再生計画において返済しなければならない額が多くなります。

さらに、認可に至る手続きにも違いがあります。
「小規模個人再生」は、債権者に意見を聞き、債務総額及び債権者数において半分以上の反対があれば認可されません。
他方で、「給与所得者個人再生」は、債権者の意見を聞いたりすることはないので、債権者の反対により認可されないということにはなりません。

このため、大口の債権者が個人再生に反対することが予想される場合には、「給与所得者個人再生」を利用することとなります。
なお、銀行や消費者金融などの一般の金融機関は個人再生に反対することは少ないのですが、信用保証協会や公務員の共済組合などの公的機関は反対する場合もあるので、注意が必要です。

したがって、弁済額を考えると、多くの場合は、「小規模個人再生」の方が有利であり、サラリーマンなどの給与所得者でも「小規模個人再生」を選択する場合が多いのですが、大口の債権者が個人再生に反対することが予想される場合には、「給与所得者個人再生」を選択することとなります。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)