「小規模個人再生」と「給与所得者個人再生」

個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者個人再生」の二種類があります。
今回は、この2つの個人再生の違いについて紹介したいと思います。

まず、「小規模個人再生」は、収入があれば、給与であれ事業収入であれ、申立ができます。
他方で、「給与所得者個人再生」、会社などに勤務しており、毎月、安定して給与をもらっている人しか申立ができません。

また、支払わないといけない金額の決まりも違います。
まず、両方とも、①100万円、②借金総額の5分の1、③申立者の財産の総額のうち、最も高い金額を払わなければいけないというルールは共通です。

ただ、「給与所得者個人再生」の場合、これに加えて、可処分所得(収入から税金、社会保険料、居住地や扶養家族の数から計算される必要生活費などを引いた残りの2年分)以上を払わないといけないというルールがあります。
このため、通常は、「給与所得者個人再生」を選択した方が、再生計画において返済しなければならない額が多くなります。

さらに、認可に至る手続きにも違いがあります。
「小規模個人再生」は、債権者に意見を聞き、債務総額及び債権者数において半分以上の反対があれば認可されません。(詳しくは「小規模個人再生において債権者に再生計画に反対された場合」をご覧ください)
他方で、「給与所得者個人再生」は、債権者の意見を聞いたりすることはないので、債権者の反対により認可されないということにはなりません。

このため、大口の債権者が個人再生に反対することが予想される場合には、「給与所得者個人再生」を利用することとなります。
なお、銀行や消費者金融などの一般の金融機関は個人再生に反対することは少ないのですが、信用保証協会や公務員の共済組合などの公的機関は反対する場合もあるので、注意が必要です。

したがって、弁済額を考えると、多くの場合は、「小規模個人再生」の方が有利であり、サラリーマンなどの給与所得者でも「小規模個人再生」を選択する場合が多いのですが、大口の債権者が個人再生に反対することが予想される場合には、「給与所得者個人再生」を選択することとなります。

【解決事例】自宅を手放さずに小規模個人再生が認められた事例

ご相談内容

相談者は30歳代の夫婦。
共働きの夫婦で,住宅ローンを除いて合計約1200万円の借金があり,月々の返済が困難な状況に陥っていました。
ただ,何とか自宅を残したという強い希望があり,個人再生により債務整理をしたいということで相談に来られました。

解決の方針・結果

夫婦とも,債務を減額したうえで計画的に返済する小規模個人再生を目指すことを方針としました。

住宅ローン会社との交渉や債権調査,再生計画の作成などを丁寧かつスピーディに行った結果,夫婦とも小規模個人再生が認められました。(「個人再生と住宅ローン」を参照

それにより,自宅を手放すことなく,3年間で約270万円の債務を返済することで解決できました。

個人再生は,個人破産よりも時間と労力がかかるため,取り扱わない事務所も多いようですが,当事務所では,数多くの案件を処理した経験と実績があります。

【解決事例】ギャンブルの借金について小規模個人再生が認められた事例

ご相談内容

相談者は50歳代の男性。
金融機関や知人・親族などから,約2200万円の借金があり,月々の返済が困難な状況に陥っていました。

ただ,借金のうち,100万円近くがギャンブルによるもので,自己破産もできない状況にあり,個人再生により債務整理をしたいということで相談に来られました。

解決の方針・結果

ギャンブルによる借金で破産が難しいため,債務を減額したうえで計画的に返済する小規模個人再生を目指すことを方針としました。

債権調査,再生計画の作成などを丁寧かつスピーディに行った結果,小規模個人再生が認められました。

それにより,債務は大幅に減額され,3年間で約300万円を返済することで解決できました。

【解決事例】FXの借金について小規模個人再生が認められた事例

ご相談内容

相談者は30歳代の男性。
金融機関から,約750万円の借金があり,月々の返済が困難な状況に陥っていました。

ただ,借金のほとんどが,FXの損失によるもので,自己破産もできない状況にあり,個人再生により債務整理をしたいということで相談に来られました。

解決の方針・結果

FXによる借金で破産が難しいため,債務を減額したうえで計画的に返済する小規模個人再生を目指すことを方針としました。

債権調査,再生計画の作成などを丁寧かつスピーディに行った結果,小規模個人再生が認められました。

それにより,債務は大幅に減額され,3年間で約150万円を返済することで解決できました。