不当違法な訴訟に対する慰謝料請求について

民事訴訟において、訴えを提起された側が勝訴した場合に、その訴え自体が不当違法であったとして、訴えを提起した相手方に対して慰謝料などの損害賠償を請求することはできるでしょうか?

今回はこの問題について考えてみたいと思います。

 

まず、憲法では、国民には裁判を受ける権利が保障されており、訴えを提起すること自体は権利として認められています。

また、私人間で何らかの紛争がある場合には、最終的には裁判所で決着をつけるしかありません。

 

そのため、原則としては、訴訟を提起して敗訴した場合でも、訴えを提起された側が、訴えを提起したこと自体が違法であるとした慰謝料請求は認められません。

 

ただ、提訴者が、その訴えに全く法的根拠がないことを知りながら、あえて訴えを提起したような場合には、例外的に、その訴え提起自体が違法となるとされています。

 

判例においても、「民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、同訴えの相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的、法律的根拠を欠くものであり、提訴者が、そのことを知りながら、又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。」としています。

 

なお、訴訟を提起された場合には、その訴えの内容が法的に根拠のない場合であっても、放っておかずに、必ず応訴する必要がありますので、注意してください。

 

法的なトラブルでお悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)