トラック運転手の残業代について

今回はトラック運転手の残業代について考えてみたいと思います。

 

近年,「働き方改革」と称する様々な施策が政府によって講じられ,労働法関係の制度にも一定の変化が見られる昨今ですが,依然として労働者が過酷な労働を強いられる業種も多いです。

 

厳しい労働環境になりがちな業種の一つとして,運送業,とりわけトラック運転手の労働環境が挙げられます。特に長距離ドライバーの労働時間は長時間になりがちで,身体的にも精神的にも過酷な労働を強いられることも多い仕事です。

 

このような長時間労働を強いられている場合,会社に対して,残業代を請求できることがあります。

 

トラック運転手の場合は,会社が給与形態をやたらと複雑にしていたり,手待ち時間を労働時間としてカウントしなかったり,残業代は固定にする等して,労働者にとってどれだけ残業代が発生しているか明確でなかったために,残業代の請求を諦めたり,そもそも請求できることを知らなかったというケースは少なくなく,いざ,残業代を算定してみると,多額の残業代を会社に請求できることが判明することがあります。

 

例えば,残業代ではなく、給与とは別に,旅費という名目で毎月数万円から数十万円が支給されているケースがあります。

恐らく,残業代を一部補填する目的とともに、旅費という形で支給すれば,税金がかからないうえ,社会保険料の負担も低く済むというメリットがあるのだと思います。

しかしながら,旅費という名目での残業代の支払いは認められませんので,別途,残業代を請求することが可能なケースがあります。

 

また,荷物の積み卸しや手待ち時間は,休憩時間ではなく,拘束されている以上,労働時間として残業代の支払い義務があります。

 

なお,残業代の時効は2年です(令和2年2月現在)ので,会社に対して過去2年分の残業代を請求することができます。

 

仮に月10万円分の残業代があるとすると,240万円を請求できることになります。

 

残業代の算定には,運転日報や出勤簿,タイムカード等の資料が,重要な証拠となります。

会社によっては,労働者の勤務管理を,タイムカートではなく,労働者個人が手書きで記載する運転日報で行っている場合もあります。

 

そのような場合,日々の運転日報を正確に記載しておくことが,後々重要になってくることでしょう。

 

トラック運転手が多額の残業代を会社に対して請求できるケースは少なくありません。

ご自分の賃金の支払いについて,疑問をお持ちの方は,当事務所までお気軽にご相談ください。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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