交通事故による将来の有給休暇の喪失

交通事故の治療により会社の欠勤が長引いた場合、翌年度の有給休暇が減らされることがあります。
具体的にいいますと、労働基準法39条1項は全労働日の8割の出勤率を維持した労働者に対して有給休暇を与えることを義務としています。

したがって、事故により欠勤が続き、8割の出勤率を維持できなかった場合、その方の翌年の有給休暇はなくなってしまいます。

このような場合、事故がなければ出勤率を維持できたわけですから、有給休暇を取得できたはずです。
このような有給休暇の喪失分は損害として加害者側に請求することができるでしょうか。

裁判例の多くは、将来の有給休暇喪失分を休業日数と同視して損害を計算しています。
この場合に、有給休暇の喪失がそれ自体休業損害であると考えるもの、または財産的価値を有するものであると考えるものなどの考え方の違いはありますが、算出される損害額についてはどちらも違いはありません。

また、有給休暇については、将来の喪失分に限らず、事故の治療のために有給休暇を取得した場合も裁判例は損害の計算の基礎となるとしています。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)