交通事故による賞与の減額

交通事故により会社を休まざるを得ず、そのことにより賞与の減額をされた場合、これは損害として加害者に請求できるでしょうか。

 

まず、給与所得者の場合、休業損害は、事故前の収入を基礎として受傷によって休業したことによる現実の収入減です。

したがって、事故がなければ賞与も貰えたはずですから、賞与が減額された場合、原則として休業損害となります。

過去の裁判例でも、事故により、賞与が減額または不支給となった場合には、休業損害として認められています。

 

ただ、賞与については、その勤めている会社の業績や、社会の景気動向など、様々な外的な要素が絡んで支給額が決定されることが多くなります。

そのため、単に事故で仕事を休んだことが賞与カットの理由にはならない可能性があり、またその判別も非常に難しいものとなります。

特に本人の勤務評定なども要素に加味されるようになると、いっそう複雑になります。

 

事故による負傷のため、賞与算定期間をすべて休んでしまい、まったく支給されなかったようなケースであっても、その期間に仮に事故がなく通常どおり勤務していたら得られたであろう賞与金額の算定もやはり難しいものがあります。

 

したがって、賞与支給の規定がしっかりと定められている企業では、欠勤により賞与がいくら減額されたかは容易に証明できるので、この証明書をもとに損害を認定する事になります。

一般的には、勤務する企業が「賞与減額証明書」を発行してくれます。適正な内容であればそれに従った損害の認定がなされます。

 

他方で、中小の零細企業であり、そのような規定がなく賞与を大雑把に計算している場合、減額分の証明が困難なこともあります。

企業が証明書を出してくれれば損害請求はスムーズに進みますが、証明を出してくれない企業もあります。

そのような場合は、被害者の方の事故の前年度の年間の収入総額を算出し、これをもとに給与と賞与を合わせた損害を認定することにより損害を請求していきます。

 

交通事故など法的なトラブルでお悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)