交通事故における後遺障害の逸失利益の算定について

交通事故の被害者に後遺障害が残った場合には、後遺障害の等級に応じて、将来の逸失利益を損害賠償として請求できます。
今回は、逸失利益の算定について、基本的なことを説明したいと思います。

まず、逸失利益の計算方法は、以下のとおりとなります。

➀基礎収入×➁労働能力喪失率×➂労働能力喪失期間の中間利息控除(ライプニッツ係数)

次に、計算式の➀~➂について、順に説明します。

➀基礎収入
原則として事故前の現実収入を基礎とします。
通常は、事故前年の所得証明書や源泉徴収票の所得額となります。
ただ、現実収入額が賃金センサスの平均額を下回っていても、将来、平均賃金程度の収入を得る蓋然性があれば、平均賃金を基礎収入と算定される場合もあります。

➁労働能力喪失率
労働能力の低下の程度については、後遺障害の等級に応じて、労働能力喪失率表が定められていますので、それが基本となります。
例えば、後遺障害の等級が14級であれば、労働能力喪失率は5%、12級であれば14%となります。
そのうえで、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の就労状況などを総合的に判断して評価します。

➂労働能力喪失期間の中間利息控除(ライプニッツ係数)
労働能力喪失期間の始期は、症状固定日となります。
未就労者の場合は、原則18歳ですが、大学進学を前提とする場合は、大学卒業時となります。
労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳となります。
ただ、症状固定時の年齢が67歳を超える場合は、原則として平均余命の2分の1を労働能力喪失期間とします。
始期と終期から労働能力喪失期間を算出したうえで、その期間の中間利息の控除を行います。
これは、後遺障害の逸失利益は、全額の一時払いとなるため、中間利息の控除を行う必要があるからです。
実務では、中間利息の控除は、ライプニッツ式で行われています。
中間利息は、従来は年5%でしたが、令和2年4月以降に発生した交通事故は、年3%となっています。

では、上記の計算式によれば、令和3年4月に発生した交通事故で、被害者の症状固定時の年齢40歳、事故前の前年所得が500万円、後遺障害が12級の場合であれば、逸失利益の額は、いくらになるでしょうか。
➀基礎収入500万円×➁労働能力喪失率12%×➂労働能力喪失期間の中間利息控除(ライプニッツ係数)18.3270(労働能力喪失期間27年間)=1099万6200円となります。

ただ、以上は、基本的なルールに基づいた算出方法による逸失利益の額ですので、必ず、このとおりの額になるわけではないということに留意ください。

交通事故の後遺障害などでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。
なお、当事務所では、交通事故の被害者の方は、初回法律相談と無料としています。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)