交通事故と自動車改造費等について
交通事故の被害者の方が、後遺障害が残った場合に、通院のための自動車の購入費や改造費用などを損害として、加害者に対して請求できるのでしょうか。
裁判例においては、障害者用の車いす等が装備された自動車について、重度後遺障害者の移動の手段として必要性が認められた場合には、購入費用のうちの一定割合の額又は自動車を障害者用に改造する費用は損害として認められています。
ただ、一般に自動車が後遺障害と無関係に所有されることが多いため、新車購入費用全額が損害として認めれることは少ないというのが実情です。
交通事故の損害賠償の実務で参考とされる「赤い本」においては、「被害者の受傷の内容、後遺症の程度・内容を具体的に検討し、必要性が認められれば相当額を認める」とされています。
将来にわたる自動車の買い換えに伴って改造費の支出が必要となる場合には、自動車の買い換えごとにその支出が認められます。
この場合、症状固定後以後の平均余命期間における各買換えごとにそれまでの期間の年数に対応する中間利息を控除した現在価値の合計額が、損害として認められることとなります。
1回について改造費100万円、余命年数20年、6年ごとに3回買い換えるとした場合の現在価値の算定式は次のとおりとなります。
100万円×(1+0.7462(6年のライプニッツ係数)+0.5568(12年のライプニッツ係数)+0.4155(18年のライプニッツ係数)
=271万8500円
自動車改造費については、被害者側においてその必要性を主張立証する必要があります。
領収書、見積書、明細書などを提出する必要があるほか、自動車利用及び改造の必要性・相当性に関する医師の意見書、被害者の生活状況に関する被害者や家族の報告書・陳述書の提出が必要となる場合があります。
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