自動車に対する強制執行

お金の貸した相手がお金を支払わない場合、判決などの債務名義に基づいて、相手の所有する自動車を差押え、強制執行することができます。

このように、自動車に対する強制執行は自動車執行と呼ばれています(民事執行規則86条)。

自動車執行の対象となる自動車とは、道路運送車両法13条1項に規定する登録自動車です。
この場合には、登録、いわゆるナンバーのある自動車が自動車執行の対象となります。
ただし、同条の自動車については、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車が除外されています。

次に、自動車執行が認められるためには、強制執行を受ける債務者(債務名義にかかれた債務者)と自動車の登録名義(所有者欄)が一致していなければなりません。

使用者欄が債務者と一致していても、所有者欄が異なる場合は強制執行できません。
自動車ローンで車両購入した場合、所有者を自動車ローン会社や販売会社として登録されている場合がありますので、注意が必要です。

したがって、自動車執行を検討する際は、事前に登録事項等証明書を取得し、所有者の確認することが大切です。

自動車執行の流れは、
①自動車の強制執行申立 → ②③差押えの登録・執行(自動車の引き渡し・売却) →④売却代金の配当 という手続きの流れになります。

①自動車の強制執行申立
登録事項等証明書「使用の本拠の位置」欄記載の場所を管轄する裁判所に対して、必要書類を作成・添付の上、強制執行申立て手続きを行います。

②③差押えの登録・執行(自動車の引き渡し・売却)
申立てを受けて強制執行が開始されると、自動車を差押えた旨の登録がなされます。
それて併せて、裁判所の執行官が、債務者等の占有を解いて自動車の引き渡しを受け、自動車を売却します。

ただ、自動車の所在場所が分からないと、自動車を執行できません(引き渡しを受けられません)。
売却までの自動車の保管費用は、債権者が予め納めておき、自動車の売却代金から支払いを受けることになります。

④売却代金の配当
売却代金の配当、債権の回収が実現されます。