文書送付嘱託

裁判所を通じた証拠収集の方法として、「文書送付嘱託」と「調査嘱託」があります。

このうち、「文書送付嘱託」は、裁判所を通じて、病院の診療録や銀行の取引履歴など、当事者が所持しない文書を第三者である文書の所持者からその文書の裁判所への送付を嘱託する手続きをいいます(民事訴訟法226条)。

例えば、診療録等の写しを主治医から任意に交付してもらうことが人間関係等に照らして難しい場合(代理人弁護士を通す場合を含む。)であっても,訴訟提起をした後の文書送付嘱託の申立てを利用することで,裁判所を通じて診療録等の写しを入手することができます。

なお、文書送付嘱託では、文書の所持者である私人や団体に対して、その所持する文書の送付を依頼するものですので、文書送付嘱託の申立てをする場合には、送付嘱託を求める文書を特定すること、その文書を第三者が所持していることなどが必要となります。

なかなか、代理人からの任意の依頼には応じてもらえない場合でも、裁判所からの公的な依頼ということで応じてもらえるケースもあります。

ただ、この文書の送付嘱託は、文書の所持者に対して、任意に提出することを嘱託するものであって、文書の所持者から必ず文書が提出されるというものではありません。
文書の所持者から強制的に文書を提出させるには、文書の提出命令(民事訴訟法223条)という方法をとる必要があります。

なお、文書送付嘱託により、裁判所に送付された文書については,相手方にも閲覧・謄写の機会を与えられます。

そして、文書送付嘱託で取り付けた文書は、裁判所で謄写した上で、号証をつけて書証として提出する必要があります。
文書送付嘱託で求めた文書が裁判所に届いただけでは、証拠とはなりませんので注意が必要です。

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