アスベスト訴訟の最高裁判決

本日、大阪府南部の泉南地域のアスベスト(石綿)紡織工場の元従業員とその遺族が、規制の遅れで肺がんになったなどとして国に賠償を求めた2件の集団訴訟で、規制権限を行使しなかった国の対応を違法とする判決を言い渡した。

 

この訴訟では、(1)粉じん排気装置の設置義務化(71年)(2)粉じんの濃度規制強化(88年)(3)防じんマスク着用義務化(95年)--の3点について時期が適切だったが争点となっていました。

特に、(1)については、1958年当時に規制が可能であったかどうかについて、高裁判決の判断が分かれていました。

 

最高裁は、「労働環境を整備し、生命、身体に対する危害を防止するため、国は技術の進歩や医学知識に合うよう適時・適切に規制権限を行使すべきだ」との枠組みを示したうえで、排気装置設置については「58年には実用的な技術も普及しており、義務化が可能だった」と指摘、設置義務化が13年遅れた点を認めました。

 

そして、「健康被害の医学的知見が確立した1958年時点で規制すべきだった」と判断し、国の規制権限行使の遅れを違法として国家賠償請求を認めました。

 

アスベストの健康被害を巡って最高裁が国の責任を認めたのは初めて。各地の同種訴訟に影響を与えると思われます。

 

この判決については、国の立場に立つと少し厳しいかなとも思いますが、被害者である労働者を救済するという観点では評価できると思います。

 

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)