婚姻費用分担請求の調停と離婚の関係について

婚姻費用分担の申立てが係属中に離婚が成立した場合に、離婚成立までの過去の婚姻費用分担請求が認められるかどうかという問題があり、下級審の裁判例も分かれていました。

例えば、婚姻費用の分担請求と離婚調停を同時に申し立てた場合に、先に離婚が成立した時に、婚姻費用分担請求の調停の申立時から離婚成立までの婚姻費用を請求できるかどうかという問題です。

そして、この問題について、最近、最高裁の判決が出たので紹介したいと思います。

従来、この問題については、①消滅説、②転化説、③存続説という3つの見解がありました。
まず、①の消滅説というのは、離婚後は、過去の婚姻費用分担請求権は消滅するという考え方です。
次に、②の転化説というのは、離婚後は、過去の婚姻費用分担請求権は消滅するが、財産分与請求権に性質が転化して存続するという考え方です。
最後に、③の存続説は、離婚後も、離婚時までの過去の婚姻費用分担請求権は存続するとの考え方です。

この問題について、最高裁は、原審の消滅説を採った判決を破棄して、存続説を採ることを明らかにしました。

その理由としては、㋐婚姻費用分担審判の申立て後に離婚により婚姻関係が終了した場合に、婚姻関係にある間に当事者が有していた離婚時までの分の婚姻費用についての実体法上の権利が当然に消滅するものと解すべき理由は何ら存在しないこと、㋑家庭裁判所は離婚時までの過去の婚姻費用のみの具体的な分担額を形成決定することもできると解されることを挙げています。

私は、この判例の立場に賛成です。
この判例は、これまでのこの問題に決着をつけるものだと思います。

ただ、この判例は、婚姻費用分担請求の調停の申立て後に離婚が成立した場合について判示したものであり、夫婦が離婚した後に、離婚時までの過去の婚姻費用分担請求の調停の申立ての可否や婚姻費用分担請求の始期(過去のどの時点まで遡り得るか)については射程外だとされています。

別居や離婚など夫婦間のトラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)