副業と労災について

先日、副業や兼業で働く人が増える中、厚生労働書の審議会が、労災を認定する際に複数の事業所の労働時間を合算できるよう制度を見直すとする報告書をまとめたとの報道がありました。

 

近年、格差の広がりなどから、副業や兼業で働く人は、年々、増加傾向にあります。

他方で、今の労災保険の制度では1つの事業所における労働時間などに基づいて労災を認定するため、複数の事業所で働いている人に十分対応できていないと指摘されていました。

 

すなわち、1つの事業所では、週40時間を超える残業があまりない場合でも、副業の労働時間を加えると、長時間の労働時間となるケースにおいて、これまでは、労災の認定の際に、副業での労働時間が十分に考慮されずに、労災と認定されないという実情がありました。

 

こうした中で、厚生労働省の審議会において、副業や兼業をする人が安心して働く環境を整備する観点から、労災保険の制度を見直すことが適当だという報告書をまとめたようです。

 

具体的には1つの事業所における労働時間だけでは労災と認定できない場合に、複数の事業所の労働時間や心理的負荷を合わせて総合的に判断できるようにし、給付額も複数の事業所における賃金を合算して決めるとしています。

 

今年の通常国会に労災保険法などの改正案を提出する予定だということです。

 

副業や兼業をしている方が、長時間労働により、精神的・肉体的な負荷により疾病を発症した場合に、労災が認められやすくなることが期待されます。

 

労災などでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

 

 

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)