定年後の再雇用の賃下げについて③(判決)

先日、仕事内容は同じなのに定年後の再雇用で賃金を減らされたのは違法だとして、契約社員のトラック運転手が勤務先の運送会社に対して正社員と同じ賃金の支払いなどを求めた訴訟の判決がありました。

 判決で、裁判所は、「正社員と賃金格差を設ける特段の事情は見当たらず、労働契約法に違反する」と賃下げを違法として定年前と同じ水準の賃金の支払いを命じました。

 この点、労働契約法20条は、有期雇用と無期雇用の間で賃金や労働条件に不合理な格差を設けることを禁じています。

 この会社のトラック運転手は、60歳の定年を迎え、1年契約の嘱託職員として再雇用され、仕事は定年前と同じだったが、賃金は約25%減ったようです。

これに対して、会社側は賃金カットについて、65歳までの雇用延長を企業に義務付けた高齢者雇用安定法に基づく再雇用で、労働契約法は適用されないなどと主張したようです。

 しかし、判決では再雇用後も労働契約法が適用されると認定したうえで、「職務が同一であるにもかかわらず、有期、無期雇用の間に賃金格差を設けることは、特段の事情がない限り不合理だ」と指摘しました。

 定年後の再雇用では、賃金が減少のは当たり前という認識が一般にあると思いますが、それは、労働時間や勤務内容などが変更される場合には許されますが、定年前と同じ場合には賃下げは許されません。

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