定年後の再雇用の賃下げについて

先日、仕事内容は同じなのに定年後の再雇用で賃金を減らされたのは

違法だとして、契約社員のトラック運転手が勤務先の運送会社に対し

て正社員と同じ賃金の支払いなどを求めた訴訟の判決がありました。

 

判決で、裁判所は、「正社員と賃金格差を設ける特段の事情は見当た

らず、労働契約法に違反する」と賃下げを違法として定年前と同じ水

準の賃金の支払いを命じました。

 

この点、労働契約法20条は、有期雇用と無期雇用の間で賃金や労働

条件に不合理な格差を設けることを禁じています。

 

この会社のトラック運転手は、60歳の定年を迎え、1年契約の嘱託

職員として再雇用され、仕事は定年前と同じだったが、賃金は約25

%減ったようです。

これに対して、会社側は賃金カットについて、65歳までの雇用延長

を企業に義務付けた高齢者雇用安定法に基づく再雇用で、労働契約法

は適用されないなどと主張したようです。

 

しかし、判決では再雇用後も労働契約法が適用されると認定したうえ

で、「職務が同一であるにもかかわらず、有期、無期雇用の間に賃金

格差を設けることは、特段の事情がない限り不合理だ」と指摘しました。

 

定年後の再雇用では、賃金が減少のは当たり前という認識が一般にある

と思いますが、それは、労働時間や勤務内容などが変更される場合には

許されますが、定年前と同じ場合には賃下げは許されません。

 

解雇など労働トラブルでお悩みの方は当事務所までお気軽にご相談くだ

さい。

 

 

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)