労働者の協調性の欠如と解雇

労働者が職場内で、同僚の他の労働者との協調性を欠くことを理由に解雇することはできるでしょうか。

この点、協調性の欠如が解雇事由として記載されている例はほとんどないと思われますし、協調性は、個人の性格にすぎないともいえます。
また、積極性があることや、同僚との関係を良好に築くことは労働者の義務ではないとも考えられ、協調性を欠く労働者であっても、業務はこなしている場合もあります。

このため労働者の主観的属性に起因する協調性の欠如そのものは解雇事由にはならないと考えられます。

ただ、他方で、協調性を欠くゆえに業務の円滑な遂行に支障を生じさせ、他の従業員の士気に影響を及ぼす、他の従業とのトラブルを誘発する、あるいは、同僚や上司との対立を繰り返す、職務規律に違反している等の事情があった場合には、解雇事由に該当する可能性が出てくると思われます。

これは、労働者の性格といった主観的属性ではなく、協調性の欠如に起因する労働者の言動に着目することになります。

このような場合であっても解雇権濫用と判断されないためには、使用者としては、解雇に至るまでに、当該労働者の言動に注意指導し、改善を促すように努力する必要があります。
可能であれば配置転換もすべきでしょうし、使用者は労働者に対する注意指導の内容について文書等で客観的な資料で残しておくということも必要になります。

使用者が注意指導を行い配置転換等のできる限りの改善努力をしたにもかかわらず、なお、業務の円滑な遂行に支障が生じさせる等の状況が改善されない場合には解雇が有効とされることもあると考えられます。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)