労働者のタイムカードの不正打刻について
多くの企業では、出退勤を機械的に記録管理するものとして、タイムカードが使用されています。
目次
タイムカード打刻を不正に行うと懲戒処分になる?
- 労働者が他人にタイムカードを打刻させる
- 実際の労働時間と異なる時間にタイムカードを打刻する
- その他、労働者の有利になるよう、実際の出退勤とは異なった時間のタイムカードを打刻した
このような場合、使用者として実際の労働時間と齟齬が生じる部分について賃金の支払を拒絶し、又は懲戒処分を行うことができるでしょうか。
労働時間はタイムカードに刻まれた記録が最優先だが、不正使用が証明されれば覆ることも
まず、タイムカードで労働者の労働時間管理をしていたと認められる場合には、タイムカードに打刻された時間が労働時間と推定されます。
したがって、使用者は、タイムカードの記載に従って労働時間を算定し、その賃金を支払わなければなりません。
もちろん、使用者がタイムカードの記載の労働時間と実際の労働時間が異なることを証明できれば、使用者は賃金の支払を拒むことも可能です。
使用者としては、時間外労働については、残業申告書等の手続きを明確に定めておく等して、正当な手続きがなされない限り残業は恣意的な居残りであることを明らかにするといった方法で労働者の労働時間を管理することが重要でしょう。
欠勤した労働者のタイムカードを代わりに打刻し懲戒処分された例
また、欠勤した同僚のタイムカードを不正に打刻した者を懲戒解雇した事案において、最高裁は、タイムカードの不正打刻をした場合には懲戒解雇をすることもありうることを周知徹底させ、その警告を知りながらタイムカードの不正打刻をしたのであるから、不正打刻をした者の懲戒解雇も有効であるとしています。
逆に言えば、このような周知徹底がなされていない場合には、いきなり懲戒解雇をすることは難しいともいえます。
使用者としては、タイムカードの不正打刻等の労働時間の虚偽申告に関して、就業規則の懲戒事由として定め、タイムカードの打刻機の傍にその旨を警告する表示を行うなど、労働者に周知徹底をさせることが重要でしょう。