無戸籍の子どもの事例

今日は、最近解決した無戸籍の子どもの事例について紹介します。

 

相談者は、女性で昨年11月末に長男を出産した女性の方で、昨年12月初旬に当事務所に相談に来られました。

 

内容は、昨年の5月に前夫とは離婚しており、前夫は台湾の方で、数年前に相談者が日本に帰国してからは一度も会っていないし、当然、性交渉もないので子どもの父親は前夫ではない。

子どもの父親は、現在、同棲している男性であり、この男性とは近いうちに結婚するつもりである。

 

ただ、子どもは、前夫との離婚後、300日以内に出生しているため、前夫の子どもと推定されるため、前夫を父とする

出生届しか受理されないことから、このままでは無戸籍になってしまうとのことでした。

また、住民票もないため、区役所で、健康保険などの住民サービスを受けることもできないとのことでした。

 

そこで、まず、相談を受けて最初にしたのは、区役所で住民票を作成することでした。

区役所と協議の上、医師の出生証明書をもとにとりあえず、仮の住民票を作成しました。

 

次に、戸籍ですが、この問題を解決するためには、①前夫からの嫡出否認の手続、②前夫に対する親子関係不存在確認の手続、

③実父に対する強制認知の手続のいずれかを家庭裁判所で調停を行う必要があります。

 

ただ、本件では、①と②は前夫が海外に居住しているため、できないので、③を選択しました。

そして家庭裁判所には、前夫とは台湾から帰国した後、一度も会っていないことを証明するため、パスポートなども

証拠として提出して、調停の申立てを行いました。

 

調停の申立て後、家庭裁判所の書記官から、前夫から自分の子どもではないことなどの書面を提出するように求められました。

家裁の見解では、相談者が台湾に行っていないとしても、前夫が日本に来日している可能性は否定できないとのことでした。

仕方なく、前夫には相談者から事情を説明して事前に了解を得えたうえで、前夫宛の書面を作成し、翻訳した上で、前夫に送付しました。

 

調停が始まり、調停では、子どもと子どもの実父(同棲相手;調停の時には相談者と結婚済)のDNA鑑定を行うこととなりました。

その後、家裁を通じて専門業者に依頼してDNA鑑定を数ヶ月かけて行い、その結果、99.9%親子と推定されるとのことでした。

 

その結果をもとに、子どの父親であると認めるとの調停を成立させ、そのうえで、その結果をもとに、子どもの父親を確定する審判を得ました。

 

その審判の結果をもとに、ようやく、相談から約5か月近くで、区役所で子どもの戸籍が作成することが出来ました。

相談者はとても喜んでいまし、私も自分のことのように嬉しかったです。

 

戸籍というのは、私たちの生活のベースとなるもので、本当に大切なものです。

この子どもが、今後の人生を元気に過ごして成長し、立派な大人になることを心より祈っています。

 

無戸籍の子ども、離婚、相続など、家族や親族のことでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所まで相談してください。

 

 

 

 

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)