DV別居と遺族年金

配偶者からドメスティックバイオレンス(DV)を受け、別居している妻や子どもらが夫の死後、別居を理由に遺族年金を受け取れない事例が各地であり、厚生労働省が支給を認めるよう促す指示を日本年金機構に出すことになったという報道がありました。

 

遺族年金は、被保険者が死亡した場合に、その被保険者に生計を持されていた遺族に、一定の要件のもとで支給される年金です。

 

そして、遺族年金の受給資格は、被保険者の死亡当時、その者により生計を維持されていたことが要件となっています。

ここにいう「生計維持」の認定は、「生計同一要件」と「収入要件」からなり、後者はについては、年額850万円を基準とされています。

 

DVによる別居の場合に問題となるのは、「生計同一要件」です。

というのは、別居している場合には、生計を同一にしていたとはいえないからです。

 

ただ、これまで、裁判例では、この「生計同一要件」について、長期にわたる別居状態の継続や住民票の住所が異なることにつき「やむをえない事情」の存在を認めた事例がありました。

 

こうした中で、厚生労働省が、DVによる別居についても、「やむをえない事情」と認められる場合には、支給対象とするという取り扱いをすることになったのだと思います。

 

DV被害者の妻や子どもらはDVで困難な状況に置かれるだけでなく、夫の死後に遺族年金を受け取れないと、ひとり親家庭で経済的にも苦しくなることが多い。子どもの貧困を防ぐ観点からも、支給を求める声が上がっていました。

 

今回の厚生労働省の対応は、受給を諦めていた人たちに救済の道が開けたといえそうです。

 

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神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)