「外れ馬券」は経費か!?
先日、競馬の予想ソフトを使って大量購入した馬券の払戻金をめぐり、所得税約5億7千万円を申告しなかったとして所得税法違反(単純無申告)罪に問われた男性に対する大阪高裁の判決がありました。
この裁判での争点は、外れ馬券の購入費を経費と認め、所得から控除すべきか否か。
言いかえれば、馬券の払戻し金は、税法上、「一時所得」か、「雑所得」かということです。
大阪高裁は、男性が税の申告をしていなかったとして執行猶予付きの有罪の判決をしましたが、外れ馬券を経費として認めました。
男性は、インターネットを通じて、平成19~21年に約28億7千万円分の馬券を購入した。
そして、払戻金の総額は約30億1千万円で、約1億4千万円の利益を得た。
これに関して、検察側は、払戻金は国税庁の通達では偶発的に得た「一時所得」になるとして、経費算入できるのは当たり馬券の購入費のみで、外れ馬券は対象外になる。
そのため、払戻金のほぼ2分の1の約14億6千万円が課税対象となり、税額は約5億7千万円になると主張しました。
この検察側の主張が認められれば、男性の利益は約1億4千万円にすぎないため、黒字が一転、4億円以上の赤字となります。
この点に関しては、検察側は、納税をせずに馬券購入を続けており、自業自得であると主張していました。
これに対して、弁護側は、馬券購入は調査研究を重ねた「利益目的の継続的な経済活動」と強調して、先物取引などの資産運用のもうけと同様に必要経費すべてが認められる「雑所得」に該当し、「外れ馬券の購入費も経費に算入されるべきだ」と訴えていました。
大阪高裁は、一審と同様に、弁護側の主張を認め、外れ馬券を経費として認めました。
私は、今回のケースについては、大阪高裁の判決は妥当だと思います。
検察側の主張では、利益以上に税金を支払うことになり、やはり結果的妥当性に欠けると言わざるを得ないと思います。
ただ、今回のケースは、ネットで大量に継続的に購入していたこと、馬券の購入履歴や払戻し額が記録として残っていたことなど特殊な要素も大きく、通常のケースではなかなか外れ馬券を経費として認められることは少ないと思います。
この裁判をきっかけに、馬券の払戻金についての課税を見直す必要があるかもしれませんね。
皆さんはこの問題についてどう考えますか?
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