住民訴訟②

4 住民訴訟の基本構造~住民監査請求の前置(別紙参照)
(1)原告適格
  ①普通地方公共団体の住民であること(1人でも可能)
    →当該地方公共団体の区域内に住所を有する自然人(外国人含む)、法人、権利能力なき社団
→訴えの提起の段階から口頭弁論の終結時まで住民たる資格を有していること
     →監査請求時に住民であっても,その後住民の資格を失えば,原告適格を有しない
②住民監査請求をした者であること(348頁)
 →他の住民が監査請求していても、当該住民自身が監査請求をしていなければ、当該住民は原告適格を有しない
 →住民訴訟が係属しているときは、他の住民は別訴をもって同一の請求することができない(法242の2第4項)→適法な監査請求を経ていれば、共同訴訟参加可能

(2)住民訴訟の対象・・・財務会計上の行為又は怠る事実
①公金の支出→支出負担行為(法232条の3)、支出命令(法232条の4)、支出(同条)
②財産の取得・管理・処分、③契約の締結・履行、④債務その他義務の負担
⑤公金の賦課徴収を怠る事実、⑥財産の管理を怠る事実
 
(3)住民訴訟の類型(法242条の2第1項1号~4号)【教科書P360】
ア 1号訴訟
財務会計上の行為の一部又は全部の差し止めを求める訴訟
被告は、差止めの対象となる財務会計行為上の行為の権限を有する執行機関又は職員
 →(請求の趣旨)例;「被告は、○○に対し、○○の支出をしてはならない。」
イ 2号訴訟
行政処分たる財務会計上の行為たる処分の取消し又は無効確認を求める訴え
    被告は、当該地方公共団体
     →例;「○○市長が○○に対し平成○年○月○日付けでした○○(処分)を取り消す。」
ウ 3号訴訟
    怠る事実の違法確認を求める訴え
被告は、怠る事実に係る行為の権限を有する執行機関又は職員
     →例;「被告が、○○に対し、○○しないことが違法であることを確認する。」
エ 4号訴訟
    当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすること等を求める訴訟(賠償命令の対象となる者であれば賠償命令をすることを求める)
     →平成14年改正以前は、原告住民が地方公共団体に代位して当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をする訴訟(代位訴訟)
    被告は、権限を委任していない限り、地方公共団体の長
    →例;「被告A市長は、(B)に対し、○○円及びこれに対する平成○年○月○日付から支払済みまで年5分の割合による金員の賠償を請求せよ。」

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