公務員の飲酒運転による懲戒免職の取消訴訟
先日、私が担当した事件で、地裁で、自治体の職員が飲酒運転に対する懲戒免職処分とそれに伴う退職金不支給処分の取消訴訟の判決がありました。
私は、職員の方の代理人をしており、判決では勝訴しました。
この職員は、勤務時間終了後に、代行運転を利用するつもりで、同僚と飲酒をした後、運転代行が捕まらなかったことから、思わず、そのまま運転したところ、飲酒検問に引っかかり、酒気帯び運転で検挙されました。
なお、その際、他の交通違反や事故などは一切起こしていません。
翌日に、職場の上司に自主的に報告したのですが、懲戒処分の基準では、飲酒運転は原則懲戒免職とされていたため、懲戒免職処分を受けました。
また、併せて退職金も不支給とする処分を受けました。
そのため、職も失い、退職金も支給されないという状態に追い込まれていました。
事件の受任後、地方公務員法では、不服申立前置が定められてるため、人事委員会に懲戒処分などの取消しを求めて不服申立てを行いました。
ただ、人事委員会が懲戒免職処分を取り消す可能性は低いとともに、不服申立ての裁決が出るまでには時間がかかるため、不服申立て後、3か月を経過した時点で、行政事件訴訟法の規定に基づき、裁判所に対して懲戒処分と退職金不支給処分の取消訴訟を提起しました。
訴訟では、飲酒運転は社会的に非難される非違行為であるにしても、事故など第三者への被害もなく、事故後も自ら申告するなどしていることなど、事実を丁寧に論じて、免職処分は重すぎると主張しました。
また、併せて、全国の自治体の処分基準や処分例について47都道府県に情報公開して整理するとともに、最近の裁判例も整理するなどして、これらに照らしても懲戒免職は重すぎると主張しました。
その結果、本人尋問も経た後、懲戒免職から約1年で、地裁から懲戒免職と退職金不支給処分を取り消すとの判決がありました。
判決後、自治体側は、控訴を断念し、職場に復帰することとなりました。
今回の事件では、酒気帯び運転で検出されたアルコール量もそれほど高くなく、また、他の交通違反も、人身事故など事故も起こしておらず、翌日上司に自主的に報告していることから、他の裁判例や他の自治体の例から見て、懲戒免職は少し重すぎると思われました。
他方で、職場復帰ということを前提とすると、早期に確実に勝訴することが求められていました。
そして、このような有利な事実を一つ一つ丁寧に積み重ねて論じていきました。
神戸山手法律事務所の津田弁護士は、自治体職員として実際の行政事務に携わったエキスパートです。
神戸山手法律事務所の津田和之弁護士は、公務員として20年以上の勤務経験があります。
法曹資格を有する職員として数多くの審査請求や訴訟に携わるなどの経験や実績があります。
行政手続きや審査請求・行政訴訟制度などについて精通しています。
こうした経験を活かし、自治体からの相談にも数多く対応しております。
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