子どもの認知の方法と手続きについて

内縁関係など、内縁関係など、法律上の結婚をしていない男女の間、つまり未婚の母から生まれた子どもの場合、たとえ、血のつながりがあったとしても、生まれた時点では実の父とは他人であって、子どもには法律上は父親がいない状態です。

この場合に、特定の男性が子どもの父親であると法的に認めるのが「認知」という手続です。

そして、父親が子どもを認知する方法としては、次のような方法があります。

1 任意認知
 任意認知とは、父親が自ら子どもを認知する方法であり、父親が市町村役場で「認知届」を提出すれば認知が成立します。
 子どもが生まれてから成人するまでの間であれば、誰の承諾も要りません。 ただし、子どもが成人しているなら子どもの承諾が必要となります。
 
 また、子どもが死亡したら基本的には認知できませんが、死亡した子どもに子どもや孫がいれば認知が可能です。
 なお、遺言により認知することも可能ですが、この場合には、遺言執行者が、就職から10日以内に届出をすることが必要です。

2 胎児認知
 胎児認知は、父親が、子が生まれる前(胎児の状態)に認知をすることです。
 この場合には、その胎児を懐胎する母親の同意が必要です。

3 強制認知(裁判認知)
(1)認知調停の申立て
 父親が任意認知をしてくれない場合に、子やその親権者である母親は、裁判所の手続により、父親に対して認知を求めることができます。
 この場合には、まず、家庭裁判所に認知調停申立をします。ただし、父親が死亡した後の認知は、調停前置主義の例外として、調停を経ずに、認知の訴えを提起することになります。

 調停手続において当事者間で合意が成立したとき、かかる合意を裁判所が正当と判断すれば、裁判所は「合意に相当する審判」を行い、この審判が確定すると、認知の効力が生じます。

(2)認知の訴え
 認知の訴えは、上記の調停と異なり、裁判所の判決により子を認知することを求める訴訟です。認知調停申立で当事者の合意が形成されず、調停不成立となった場合が想定されます。なお、胎児の場合には、認知の訴えはできず、出生後に訴訟提起が可能となります。
 
 調停と異なり、生殖上の父子関係等を明らかにするための訴訟手続を行い、裁判所が判決を下すことになります。
 ただし、この訴訟手続の間でも、当事者間の合意により、父親が認知をする旨の和解を成立させることができます。判決が確定すると、認知の効力が生じます。
 
 また、父親が死亡した後でも、認知の訴えを提起することは可能ですが、この場合、父親の死後3年以内に、父親の最後の住所地を管轄する検察庁の検察官を相手として訴えを提起することとなります。

 そして、裁判又は審判で認知認められた場合は、裁判又は審判の確定した日から10日以内に認知届を提出しなければなりません。

子どもの認知など親子や夫婦間の法的トラブルでお悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。