新型コロナウィルスの感染と解雇について

新型コロナウィルスのまん延により、緊急事態宣言が発令され、飲食店の時短や営業自粛など、生活全般や経済にも大きな影響が出ています。
また、全国的に何千人という方が、新規に感染し、感染のリスクが高まっています。
こうした中で、今回は、新型コロナウィルスに感染した従業員の方が、勤務先から解雇を言い渡された場合について考えてみたいと思います。

まず、解雇には、➀普通解雇、➁懲戒解雇、➂整理解雇の3種類があります。
このうち、➀の普通解雇とは、社員の能力不足などを理由とする解雇をいいます。
➁の懲戒解雇は、社員の非違行為や社内の秩序違反に対する制裁を理由とする解雇です。
➂の整理解雇とは、企業の経営悪化に伴う人員の整理を理由とする解雇です。

そうすると、新型コロナウィルスに感染したことを理由とする解雇は、恐らく、➁の懲戒解雇に該当するものと思われます。

では、勤務先は、新型コロナウィルスに感染したことを理由として従業員を懲戒解雇することはできるのでしょうか。

この点、勤務先が労働者を懲戒解雇する場合は、就業規則に懲戒解雇の事由が明記されている必要があります。
また、労働契約法15条では、「使用者が労働者を懲戒できる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効とする」と定められています。

例えば、客観的に誰が見ても企業の秩序を乱すような行為(横領など)を行ったとしても、「刑事犯罪にあたる行為を行なった者は懲戒解雇」といった内容が記載されていなければ、懲戒解雇には出来ません。

一般的に懲戒事由とされるのは、横領や窃盗などの刑法犯、セクハラやパワハラ、経歴詐称などと言われています。
単純にコロナに感染したというだけでは懲戒事由には該当しないと言えます。
また会社側の自粛や外出禁止などの指示に従わずに感染した場合も同様に難しいと言えます。

このように考えると、新型コロナウィルスに感染したことを理由とする懲戒解雇は、無効と判断される可能性が高いと思われます。

不当解雇など労働トラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)