自宅不動産と財産分与~頭金の一部が特有財産~
結婚後に、自宅不動産を購入する場合、夫婦の一方又は双方の両親から贈与を受けたお金や、夫婦の一方又は双方が独身時代に形成した資産を頭金に充てるというケースがよく見られます。
では、このような場合に、離婚に際しての財産分与はどのようになるのでしょうか。
こうした場合、両親からの贈与や独身時代の預金などの金員は、一方配偶者の特有財産に該当しますので、一方配偶者の特有財産に相当する部分については、財産分与の対象とならず、特有財産を支出した配偶者の取り分となります。
例えば、自宅不動産の時価評価額が2000万円、住宅ローンの残債務額が1000万円である場合を考えてみましょう。
この場合において、夫の両親から頭金として500万円の贈与を受けて、2500万円の自宅不動産を購入したという事情があった場合、この500万円に相当する部分ついては、財産分与の対象から除外して財産分与の金額を算定する必要があります。
そして、この場合の具体的な処理については、自宅不動産の評価額から、自宅不動産の取得価額に占める特有財産の割合を控除して夫婦の実質的共有財産部分を算出した大阪高裁平成19年1月23日判決判タ1272・217が参考になります。
この裁判例によると、財産分与の対象となる金額については、「自宅不動産の評価額×(1-特有財産の額÷取得額)」という計算式により算定することができます。
上述の例でいうと、財産分与の対象額=(2000万円-1000万円)×(1-500万円÷2500万円)=800万円と算定されます。
そして、夫の取得額については、(1000万円-800万円)+800万円×1/2=600万円、妻の取得額については、800万円×1/2=400万円と算定することができます。
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