養育費と歯列矯正費用

夫婦が離婚をして,多くの場合,一方の親が子供の監護を行うことになり,他方の親は,その子供が成人するまで(例外もあります。),毎月の養育費を支払うことになります。

 

そして,この養育費の金額は,両親の収入によって算定されるというのは,ご存じの方も多いかもしれません。
それでは,養育費の金額は両親の収入だけで決められるものなのでしょうか?

 

養育費の算定は,原則として,両親の収入,子供の数,年齢,といった条件によって,養育費算定表に従った金額をベースに,個別の事情の考慮して,算定表の金額に一定の上乗せ(または減額)が認められることがあります。

 

その上乗せが認められうる事情の一つとして,子供の歯列矯正費用が挙げられます。
そもそも,養育費とは子供の最低限の生活に必要な費用を親に負担させるという趣旨で義務づけられる支払いであるので,算定表による算定は,子供のいる世帯の平均的な家計収支に基づいています。逆に言えば,養育費の算定は,子供にかかる平均的な生活費しか考慮されていないことになります。

 

しかし,家庭によっては,子供の養育に必要な費用として,平均的な家計収支には収まらないような特別の支出がある場合もあるでしょう。
そこで,このような特別の費用を,一方の親に負担させるのが不公平であるという場合には,その費用を両親で分担するべきであると考えるのです。

 

子供の歯列矯正は,単に審美的な側面だけでなく,噛み合せの調整等の医学的な側面での必要性からも行われますが,通常は高額な費用を要し,100万円を超えるような場合もあることから,これを一方の親のみに負担させるのではなく,適切に分担すべき必要性が高いことが多いと考えられます。

 

そして,歯列矯正の費用を養育費に上乗せすることを主張するには,養育費を決める調停,審判の場において,その必要性を資料とともに説得する必要があります。
その際には,治療費を基礎づける請求書や領収書等の資料のほか,治療の必要性を基礎づけるカルテ等の資料も必要となります。

 

矯正費用の分担については,半分ずつ負担するか,両親の収入費で按分するといった方法が考えられますが,どのような分担がされるかはケースによって異なります。
当事務所は養育費や夫婦関係に関する事件も多く扱っております。
養育費等に関してお困りの方はお気軽に当事務所の方までご相談ください。

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