子の引渡しについて(法制審での審議)

夫婦が離婚した場合には、親権者である方が親が子どもと一緒に生活して養育監護することとなりますが、親権者でない方の親が子どもを引き渡さない場合があります。

 

離婚後に,親権者でない方の親が子どもを連れ去ってしまった場合に,その子を取り戻すために,家庭裁判所に子の引渡しの調停又は審判の申立てができます。逆に,子が親権者と共に暮らしていて,親権者でない方の親が子の引渡しを求めることもできますが,この場合は親権者変更の申立と共に行うことが原則となります。
離婚前の別居中でも,調停又は審判の申立てをすることができます。

 

さて,子の引渡しの調停又は審判の申立てが認められた場合,実際に,子を取り戻すことになりますが,相手側が任意に子を引き渡してくれない場合は,強制執行の手続きが行われることになります。
子の引渡しの強制執行手続きについては,明文規定がないことから,今,法務省の法制審議会民事執行部会で,明確なルール作りが検討されている真っ最中です。

 

これまでは,裁判所の判断に任せられていて,主に,「直接強制」又は「間接強制」という方法が採られています。
「直接強制」とは,動産(家具など)と同じように,裁判所の執行官が子の暮らす家などに赴いて,直接,子を取り戻してくる方法です。「間接強制」とは,子を渡さない親に対して,例えば「1日3万円支払え」など金銭の支払いを命じ,自発的に引き渡すことを待つ方法です。

 

 

審議会では,直接強制の前に必ず間接強制を行うべきか(間接強制前置),直接強制を行う際に子と暮らしている親が子と一緒にいるときでなければならないか(同時存在原則),取戻しの場所は相手側の親の自宅などでなければならないか(執行場所),などが話し合われています。

 

 

例えば,同時存在原則は,子がこれまで暮らしていた親のいない時に取り戻されてしまうと,子が混乱してしまう可能性があり,これを避けるためというメリットがあります。一方で,相手側の親が,仕事などを理由に子と共にいることを避け続けることで,引渡しがいつまでたっても実現しない,というデメリットがあります。

 

子の引渡しの強制執行は,子にとって,自分が今日から誰とどこで暮らしていくのかという生活の根幹に関わるものです。子の最善の利益,福祉の観点から,子にとって負担が少なく,早く平穏な生活を確保するために,慎重な検討が望まれます。

 

離婚や親権等についてお悩みの方は,ぜひ,お気軽に当事務所にご相談ください。

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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