自殺のあった不動産の物件

不動産物件において、過去に当該場所で残虐な殺人事件があったり、自殺があったりすることがあります。

一般に、売買において、物件に瑕疵がある場合には、買主は瑕疵担保責任を追及することができ、売買契約の解除権や損害賠償請求権を売主に対して有します。

では、自殺のあった物件などは、物件の瑕疵といえるでしょうか。
裁判例は「売買の目的物の瑕疵とは、その物が通常保有する性質を欠いていることをいい、家屋の場合には、家屋として通常有すべき『住み心地のよさ』を欠くときもまた、瑕疵に該当する」としています。

ただ、他方で、「『瑕疵』とは、通常人において・・・『住み心地のよさ』を欠くと感ずることに合理性があると判断される程度にいたったことを必要とする」とされています。

したがって、自殺があった場所というだけでは必ずしも瑕疵があるということはできず、個別客観的な事情によってくるということになります。

どの程度の年数がたっているか(時間的要因)、売買代金の多寡とか購入目的とかも重要なポイントとなります。また、その事情によって、解除まで要求できるか、損害賠償に請求にとどまるかについても、決まってくるでしょう。

このような物件であることを売買契約後に知った買主は、売主に対し、売買契約を解除したり、損害賠償請求をしたりすることになります。
法的構成として、瑕疵担保責任、重要な事実を告知しなかったことによる債務不履行責任、不法行為責任の追及が考えられます。

また、だまされたということで詐欺取消や錯誤による無効により契約自体を無効とすることや、消費者契約の場合には、重要事実の不告知ということで取り消しうる場合がありえます。