特別養子制度

皆さんは、「特別養子縁組」という制度を知っていますか?
特別養子縁組制度は、昭和62年の民法改正で新設された制度です。
まず、特別養子制度の大きな特徴は三つあります。
 
第一は、特別養子制度の目的は、「家庭に恵まれない子に暖かい家庭を与えて、その家庭の中で健全な育成が図れるようにする」ということです。
 
従来の養子制度は、家に跡取りがいないから、その跡取りをつくるとか、家に女の子しかいないので、お婿さんを貰って養子にするとか、もちろん親のない第三者の子供を養子にするとか、いろんな目的に使われました。
 
しかし、特別養子制度は前述した「子供の福祉を図る」目的に限定されます。
 
次の特徴は、特別養子制度では、特別養子縁組によって実方の父母との親族関係が終了します。
従来の普通養子制度では、養子縁組をしても、実方の父母との関係は残っており、父母が養父母と実父母二組いることになっていました。
 
ところが、特別養子縁組をすると父母は養父母だけになってしまうのです。
 
第三の特徴は、特別養子縁組は家庭裁判所の審判によって成立します。
従来の普通養子縁組は当事者双方が戸籍の届出を行うことによって成立していました。
 
次に特別養子の要件について述べます。
1.養親になる者は、結婚していなければなれません。結婚している人でも片方だけでは養親になれません。夫婦そろって養親となります。
 
2.25歳に達しない者は養親となることはできません。例外的には片方が25歳以上で、片方が20歳以上ならそういう夫婦でもいいということになっています。
 
3.6歳に達している者は、養子となることはできません。
あまり年齢が高い子どもと実の親子と同様な関係をつくれといっても無理だということで、養子の年齢を6歳未満にしたのです。
 
4.実父母の同意が必要です。 特別養子縁組は、実の親との法律上の関係が切れてしまうので、影響を及ぼす実父母の意志を無視して、裁判所が特別養子縁組を成立させるのは適当でないのです。
 
5.実父母が子どもを適切に育てられない場合に、子の利益のため特に必要があると認めるときに成立させます。
 
次は、特別養子縁組の効果についてです。
従来の普通養子と同様、養子は養親の摘出子たる身分を取得し、養親の氏を称し養親の親権に服します。
 
ただ、普通養子と違うところは、特別養子縁組によって、実方の父母及びその血族との親族関係が終了することです。
実父母が亡くなっても、特別養子は相続しないのです。扶養義務もなくなります。
 
次に、特別養子の戸籍について述べます。
従来の普通養子に場合、養父母の戸籍をみると、養子の父母欄にまず実父母の氏名、実父母との続柄として、二男とか二女とか書いてあって、その横の養父母欄に養父母の氏名、続柄として、養子とか養女とかを書きます。
 
ところが、特別養子では父母欄に養父母の氏名だけを書いて、実父母の氏名を書きません。そして、続柄も養子とか養女ではなくて、長男とか二男とか実の親子と同じような記載をします。
 
それから身分事項欄には、養子縁組をしたことがわからないような記載をすることになっています。
 
最後に、離縁について述べます。 従来の普通養子の場合、当事者は協議でいつでも離縁できますし、協議ができないときは地方裁判所に訴えを提起して離縁できます。
これは、養親の方からも養子の方からも、どちらからでもできます。
 
ところが、特別養子の場合は、1.養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること、2.実父母が相当の監護をすることができることの二つの要件にあてはまる場合にだけ、裁判所は離縁させることができます。それに養親からの離縁請求を認めていません。
 
なぜ、特別養子の離縁をこのように厳格に制限するのかといいますと、特別養子は実の親子と同じような関係をつくるという考え方ですから、実の親子は縁が切れないのと同様に、簡単に離縁できないようにしたのです。
 
離縁の効果は、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係が生じます。つまり、離縁の日から親子関係が復活するのです。

前の記事

自筆証書遺言について

次の記事

遺言と遺留分