交通事故と高次脳機能障害
医療の進歩により、交通事故で脳外傷を受けた被害者の方も、多くが救命されるようになりました。
しかし一方で、外見上は回復したように見えるものの、以前と同じ生活に戻れない被害者が多くいるのも事実です。
「物忘れがひどい」「攻撃的になる」「とっさの判断ができない」などの症状があらわれたら「脳外傷による高次脳機能障害」かどうか、考えてみてください。
脳が外傷を受けて生じる高次機能障害とは?
脳外傷による高次脳機能障害とは、交通事故で脳が損傷を受けたことによりその後、一見完全に回復したように見えても、認知障害、行動障害、人格変化が起きている状態をいいます。
あたらしいことは思い出せないといった「記憶・記銘力障害」や、注意力や集中力の著しい低下が見られる「注意障害」のほかに、感情のコントロールができなくなったり、物事に興味がなくなるなどといった症状があらわれます。
事故以前に比べて、「人格が大きく変化」したような場合など、この障害を疑う必要があります。
外見上ではわかりにくいこともあり、周囲も事故との関係を見逃しやすく診断が遅れる場合があります。
高次脳機能障害の事例
- 以前は穏やかな人であったが、事故後は人が変わったように怒りっぽくなり、感情をコントロールできなくなってしまった
- 事故後、自分が考えていることを滑らかに話せなくなっただけでなく、相手の話すこともなかなか理解できなくなり、仕事に支障がでるようになった
- 事故後、物の置き場所を頻繁に忘れることが多くなり、新しい出来事も覚えられなくなった。そのため何度も同じことを繰り返し質問するようになった
- 人に指示してもらわないと何もできなくなり、計画性のない行きあたりばったりの行動をとるようになった
などが挙げられています。