永住資格を持つ外国人に対する生活保護法の適用

永住資格を持つ中国籍の82歳の女性が、生活保護申請を却下した大分市の処分は違法だとして、市に処分の取り消しを求めていた訴訟の上告審判決で、最高裁は、先日、外国人には生活保護法は適用されないという初めての判断を示しました。

 

これまで、生活に困窮した外国人への生活保護費の支給は、永住資格を持つ人や難民認定された人などを対象に、人道上の観点から自治体の裁量で行われています。

厚生労働省によると、世帯主が外国人で生活保護を受給している家庭は、12年度で計約4万6千世帯(約7万5千人)いるそうです。

 

厚労省は、審査では外国人と日本人とを区別していないとしていますが、外国人は法的に保護されないため、申請が却下されても不服申し立てはできないとされてきました。

 

今回の裁判では、外国人が法的にも保護の対象になるかどうかが争いになり、2審の福岡高等裁判所が「法的な保護の対象だ」と判断したため、国が上告していました。

 

この問題について、最高裁は、「生活保護法が保護の対象とする『国民』に外国人は含まれない」とする初めての判断を示しました。

そのうえで「法的保護の対象を拡大するような法改正もされておらず、外国人は自治体の裁量による事実上の保護の対象にとどまる」と指摘して、2審の判決を取り消しました。

 

もちろん、今回の最高裁判決はあくまで法律の解釈を示したもので、自治体が裁量で行っている外国人への生活保護には直ちに影響を及ぼさないものとみられます。

 

確かに、生活保護法1条は、「すべての『国民』に対し」と規定しており、文言上でみるかぎり、最高裁の解釈もやむをえないように思います。

 

ただ、日本は内外人平等を義務づけた難民条約を締結していることに照らせば、外国人への生活保護は、「恩恵であり、権利ではない、権利を奪われても争えない」というのは正直疑問に思います。

 

私は個人的には、今回の最高裁判決の結論は、仕方がない面があるものの賛成はしかねます。

 

皆さんはどのように考えますか?

 

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