特別受益の持戻し免除について

特定の相続人が被相続人から受けている「特別受益」がある場合は、相続人間の公平の観点から,被相続人死亡時の遺産に特別受益分を加算したものを,相続財産とみなすこと(「特別受益の持戻し」)となります。

「特別受益の持戻し免除」とは

ただ,特別受益については,被相続人が持戻し免除の意思表示をすれば,持戻しはされないことになります。
これを「特別受益の持戻し免除」といいます。

被相続人が「特別受益の持戻し免除」の意思表示をすれば、被相続人の意思が尊重され、特別受益は、原則として遺産分割において考慮されないこととなります。

遺贈の持戻しの免除は,遺言で行わなければなりませんが,生前贈与の持戻し免除の意思表示は特別の方式を要せず,贈与と同時にする必要もありません。

なお、民法の改正により、20年以上連れ添った夫婦において、例えば夫がその所有する居住用建物とその敷地を妻に生前贈与したり、遺言で遺贈したりした場合には、夫は、持ち戻し免除の意思表示をしたものと推定されることになりました。

もっとも,持戻し免除の意思を明確にしておくためには,遺言に盛り込んだり,遺言とは別であっても書面の形で残しておく方がよいでしょう。
また,被相続人に対して貢献してくれた相続人に対し,持戻しを免除する場合,その理由・経緯をあわせて記しておくと,相続人間の納得も得られやすく,将来の紛争を防止することもできるといえるでしょう。

ただし,民法上,持戻し免除の意思表示は,あくまでも遺留分の規定に反しない範囲で,効力を有するとされていますので,遺留分との関係については,注意が必要です。

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この記事の執筆者:津田 和之 弁護士

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神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)

津田弁護士は、法律事務所を開業する以前、兵庫県庁にて県庁内唯一の法曹資格者として年間500件の法律相談、住民訴訟事件などの重要な訟務案件や行政不服審査法に基づく審査請求などを担当してきたという経歴を持ちます。

津田弁護士の詳細なプロフィールは神戸山手法律事務所TOPページにある「弁護士紹介 津田和之」の項目に掲載しています。

神戸山手法律事務所の津田弁護士は、理論と実践の両面で、労災問題に精通しています。

  • 地方公務員の労災制度において、地方公務員災害補償基金の訴訟担当弁護士を務めていること
  • 関西学院大学のロースクールで、労災保険制度を含む社会保障法や行政法の講義を担当していること
  • 約20年間にわたって公務員としての勤務経験があること