相続と限定承認

亡くなられた方の財産を相続する場合に,プラスの財産よりマイナスの財産が明らかに多い場合には、相続放棄をすればよいのですが、 どちらが多いかわからない場合があります。
 
こうした場合に、相続した債務(マイナスの財産)を相続した積極財産(プラスの財産)から弁済し、債務超過の場合は相続人固有の財産で弁済する責任を負わない、というのが限定承認です。
 
清算の結果残余財産があれば、相続人に帰属することになります。
限定承認をする場合には、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に限定承認の申立てをしなければなりません。
 
この3ヶ月の期間は、一部の相続人が期間を経過していても、他の相続人について期間が満了していないかぎり、最後に期間の満了する者を基準でよいとされています。  
 
なお、共同相続の場合には、相続人全員の共同 でなければ限定承認の申述はできないことになっています。
つまり、相続人のうち1人でも反対する者がいれば、相続放棄するのがよいでしょう。
 
ただし、相続人の一部の人が相続放棄した場合には、その人は初めから相続人でなかったこと になりますから、この場合はその他の相続人全員で限定承認ができます。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)