起訴と不起訴処分について

皆さんは、刑事事件において、起訴・不起訴という言葉を聞いたことがあると思います。

今日は、起訴・不起訴というのはどういうものかについて考えたいと思います。

 

犯罪を犯した嫌疑がある場合には、一般に、警察から検察官に事件が送致されます。

 

起訴とは、検察官が特定の刑事事件について裁判所の審判を求める意思表示を言います。

起訴するかどうかの権限は原則として検察官のみが持っています。

検察官に起訴されると、捜査段階から裁判手続に移り、被疑者は被告人という立場になります。

 

これに対して、検察官が裁判所の審判を求める必要がないと判断した場合には、不起訴となります。

不起訴はその理由に応じて、「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」の3種類に分類できます。

 

「嫌疑なし」とは、捜査の結果、被疑者に対する犯罪の疑いが晴れた場合です。

 

「嫌疑不十分」とは、捜査の結果、犯罪の疑いは完全には晴れないものの、裁判において有罪の証明をするのが困難と考えられる場合です。

これは、犯罪は「犯罪を犯した」という立証がない限り、無罪であるということに基づいています。

 

「起訴猶予」とは、有罪の証明が可能な場合であっても、被疑者の境遇や犯罪の軽重、犯罪後の状況を考慮して、検察官の裁量によって不起訴とする場合です。

犯罪の重さ、前科の有無や被害者との示談などが重要な考慮要素となります。

 

被疑者が不起訴処分を得るためには、捜査機関の保有している証拠の精査や被疑者に有利な証拠の収集(アリバイ等)、被害者との示談などを行い、検察官に対して嫌疑が不十分である旨の主張や不起訴が妥当である旨の主張を行っていくことが必要となってきます。

 

なかなか一般の方では難しく、不起訴処分を得るためには法律の専門家である弁護人の選任が不可欠といえます。

 

なお、不起訴処分となると被疑者に前科は付きません。

前科調書への記録や特定の資格や職業への制約といった不利益の心配がなくなり、被疑者にとってのメリットは非常に大きいといえます。

 

また、不起訴処分となれば、刑事手続は終了し身体拘束からも解放されますので、晴れて元の日常生活に復帰することができます。

 

 

神戸山手法律事務所 弁護士 津田和之 電話 078-335-5122 メール kobeyamate.law@gmail.com

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この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)