子どもの臓器提供

数か月前に(※2012年記事執筆当時)、富山大病院で初の6歳未満の脳死判定が家族の承諾に基づいて実施され、臓器が提供されることになったとの報道がありました。

今日は、子どもの臓器提供について考えてみたいと思います。

日本における子どもの臓器提供は、2年前の改正臓器移植法全面施行によって可能となりました。

それまで、法改正前は、日本では、臓器の提供は、提供の意思を書面に残しておくことが必要でした。

そして、臓器提供の意思は民法で遺言が可能な15歳以上の人しか有効ではなかったため、15歳未満の子どもの臓器提供は、日本ではできませんでした。

そのため、国内で体に合うサイズの臓器が提供される可能性がない重い心臓病の乳幼児は渡航移植するしかなかった。

ところが、渡航や手術には1億円前後の費用がかかるという問題がありました。

さらに、2008年には国際移植学会が渡航移植自粛を求める内容を盛り込んだイスタンブール宣言を採択するなどしたため、臓器移植法が改正され、国内における子どもの移植医療の道が開かれました。

改正法では、臓器提供を拒否していない限り、本人の意思が不明でも家族の承諾によって脳死の人からの臓器提供が可能となりました。

これにより、15歳未満の子どもでも、親権者が承諾をすれば、脳死状態から臓器提供ができるようになりました。

ただ、2年前の法改正以降、15歳未満の子どもからの臓器移植は10代前半の子どもの1例しかなく、6歳未満の子どもは今回が初めてのケースです。

子どもの臓器提供が、なかなか進まない理由としては、家族の承諾が得られないことのほか、新しい法律では、18歳未満の子どもからの臓器提供については、虐待がなかったことの確認など慎重な手続きが定められてることもあるとされています。

いずれにしても、臓器提供の問題は、いろいろと難しい面があり、国民的な議論が必要だと思います。

皆さんはどのように考えますか?

この記事の執筆者:津田 和之 弁護士

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神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)

津田弁護士の来歴、兵庫県庁勤務時代は県庁内の唯一であった法曹資格者としての実績など、詳細なプロフィールは神戸山手法律事務所のTOPページに項目を設けています。そちらをご参照ください。