土地の「境界」紛争について
ここでは、土地の「境界」紛争の解決についてお話したいと思います。
以前にこのブログに書いたよう(下の枠内リンク参照)に、土地の境界は、
- 公法上の境界である「筆界」(地番と地番の境)
- 私法上の境界である「所有権界」
に大きく2つに分けることができます。
土地の境界に関する基礎知識については「土地の「境界」について」という記事で書いています。このページのテーマ「土地境界紛争」に関する内容の理解が深まる内容となっています。
そして、筆界と所有権界で、紛争解決の方法が違ってきます。
「筆界」で境界紛争となった場合の解決方法
まず、「筆界」で境界紛争となった場合の解決方法には、法務局で行う「筆界特定制度」と裁判所で行う「筆界(境界)確定訴訟」があります。
「所有権界」で境界紛争となった場合の解決方法
次に、「所有権界」で境界紛争となってしまった場合には、「所有権(境界)確認訴訟」と「裁判外境界紛争解決制度(ADR)」がありますが、これ以外にも「民事調停」や「話し合い」といった解決方法もあります。
このように、土地の境界が紛争であっても、「筆界」でもめているのか、「所有権界」でもめているかについてで、解決の方法が全く違ってきます。
筆界特定制度について
公法上の境界である「筆界」(地番と地番の境)で境界紛争になった場合の解決方法には、法務局で行う「筆界特定制度」と裁判所で行う「筆界(境界)確定訴訟」がありますと、上で述べました。
ここからは、このうち平成17年の不動産登記法の改正によって新しくできた制度「筆界特定制度」について説明します。
「筆界特定制度」とは?
法務局または地方法務局にいる筆界特定登記官が、土地の所有権登記名義人等の申請に基づいて、一筆の土地と他の土地との間の筆界について、現地の位置を特定する制度です。
「筆界特定制度」の特徴
- 筆界が特定するまでに申請から約10ヶ月程度を要します。
- 費用については、申請人側が負担することになります。
- 申請人または相手方が不服であったとしても、筆界が特定される
筆界特定登記官によって特定された「筆界」について、不服がある場合には、「筆界(境界)確定訴訟」(後述)を提訴することができます。
「筆界特定制度」を利用する場合の注意点
ただ、気を付けなければならないのは、この制度は「所有権界」には全く関与しないということです。
つまり、この制度では、公法上の筆界は確定しても、私法上の境界である「所有権界」は確定しないということです。
このことを良く分かった上で、この制度を利用することが重要です。
「筆界(境界)確定訴訟」
公法上の境界である「筆界」(地番と地番の境)で境界紛争になった場合の解決方法には、法務局で行う「筆界特定制度」と裁判所で行う「筆界(境界)確定訴訟」があります。
ここからは、上記「筆界特定制度」に続いて、筆界(境界)確定訴訟について説明します。
「筆界(境界)確定訴訟」とは、読んで字の如く裁判です。
「筆界(境界)確定訴訟」の特徴
- 提訴できる裁判所は、相手となる被告の住所地または不動産の所在地を管轄する地方裁判所です(係争地の固定資産税評価額の1/2が140万円以下であれば簡易裁判所)。
- 判決までには約2年程度かかるようです。
- 判決に不服がある場合には、高等裁判所に控訴することもできますが、一審より不利な判決が出る場合もあります。
- 「筆界特定制度」との関係では、「筆界(境界)確定訴訟」の判決が優先されます。
- 判決が出されると、「筆界特定制度」は受け付けられません。
「筆界(境界)確定訴訟」で注意すべき点
「筆界(境界)確定訴訟」で気を付けなければならないのは、この訴訟では、「筆界特定制度」と同様に、「所有権界」には全く関与しないということです。
つまり、この制度では、公法上の筆界は確定しても、私法上の境界である「所有権界」は確定しないということです。
このことを良く分かった上で、この制度を利用することが重要です。
なお、筆界(境界)確定訴訟は、裁判所での手続きですので、弁護士に依頼することをお勧めします。
「所有権界」で境界紛争が発生した場合の解決方法として「所有権(境界)確認訴訟」
私法上の境界である「所有権界」で境界紛争が発生した場合の解決方法としては、「所有権(境界)確認訴訟」があります。
ここからは、「所有権(境界)確認訴訟」について説明します。
まず、「所有権(境界)確認訴訟」は、裁判ですので、裁判所に訴えを提起する必要があります。
「筆界(境界)確定訴訟」との違い
「筆界(境界)確定訴訟」との違いは、「筆界(境界)確定訴訟」は、地番と地番の境についての争いであり、「所有権(境界)確認訴訟」は、原告の所有権の及ぶ範囲についての争いだという点です。
また、「筆界(境界)確定訴訟」は、和解できないのに対して、「所有権(境界)確認訴訟」は、和解できる点が大きな違いと言えます。
ただ、訴訟ですので、判決までの期間は、長いものだと約10年掛かる事案もあるようです。
「筆界(境界)確定訴訟」と「所有権(境界)確認訴訟」との違いをまとめると、以下の表のようになります。
| 「筆界(境界)確定訴訟」 | 「所有権(境界)確認訴訟」 |
|---|---|
| 地番と地番の境についての争い | 原告の所有権の及ぶ範囲についての争い |
| 和解できない | 和解できる |
| 判決までには約2年程度 | 長いものだと約10年掛かる事案も |
土地家屋調査士会による紛争解決方法「裁判外境界紛争解決制度(ADR)」
「所有権界」の紛争の解決方法としては、あと「裁判外境界紛争解決制度(ADR)」があります。
この制度は、全国にある各土地家屋調査士会が、弁護士会の協力を得て、境界についての相談から紛争解決のための調停(または仲裁)を行う制度です。
話し合いによる解決ということから考えると、この制度も所有権界の解決制度と言えます。
土地の境界紛争など法的なトラブルでお悩みの方はどうぞ当事務所までお気軽にご相談ください。
この記事の執筆者:津田弁護士

神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)
津田弁護士の来歴など、詳細なプロフィールは神戸山手法律事務所のTOPページに項目を設けています。そちらをご参照ください。
