成年被後見人の選挙権について

病気や障害などで判断力が十分でない人に代わって財産を管理する「成年後見制度」を巡って、東京地方裁判所は3月14日、「後見人がつくと選挙権を失う公職選挙法の規定は憲法に違反する」という初めての判決を言い渡しました。

 

東京地裁は、被後見人の女性が選挙権を求めた訴訟で「成年被後見人が総じて選挙権を行使するに足る能力を欠くわけではない」ことを理由として、女性の訴えを認め、公職選挙法の規定を憲法違反とする判断をしました。

 

これについて政府は、27日、「新たな立法措置を含めて検討するためには一定の時間がかかり、違憲判決が確定すると地方選挙で混乱が生じるおそれがある」として、東京高等裁判所に控訴しました。

 

一方で、政府はことし夏の参議院選挙までに、後見人がいても選挙権を認める法改正が議員立法で行われることが望ましいとしており、選挙権を認める対象などについて検討を始めています。

 

ただ、 憲法違反と判断された公職選挙法の規定を削除した場合、後見人のついた人に一律に選挙権を認めることになりますが、その場合、本人の意思に反して投票を働きかけられる不正をどう防ぐかという課題が指摘されています。

 

他方で、判断能力に応じて対象を限定する場合には、個別に選挙権を認める基準や手続きが新たに必要になります。

 

いずれにしても、今後、政府の法改正の検討では、選挙権を認める人の対象をどう定めるかが焦点になりそうです。

 

皆さんは、この問題について、どのように考えますか?