計画停電と電力使用制限令
新聞報道によれば、政府は、今年の夏の電力需給対策として、猛暑や発電所のトラブルなどを想定して、北海道、関西、四国、九州の4電力管内で「計画停電」を準備する方針とのことです。
さらに、関電管内では、企業の節電を義務付ける「電力使用制限令」の検討に入るとのことです。
電力不足の対応策としては、関西で昨年度実施された「節電目標」がありますが、この「節電目標」、「計画停電」、「電力使用制限令」はそれぞれどのように違うのでしょうか?
今日は、このことについて考えてみたいと思います。
まず、「節電目標」とは、政府が企業、家庭などに対して、数値目標をつけて節電を要請するものです。
この「節電目標」には、強制力はありません。
昨年度、関西では、10%の節電が要請されましたが、節電効果は9%にとどまったとのことです。
次に、「計画停電」とは、電力需要が供給力を上回り、不測の大規模停電が起こることを避けるため、政府と電力会社が地域や日時を定め、電力供給を一時止めるものです。
これは、昨年3月の東日本大震災直後に、東京電力管内で行われ、交通や医療機関などにも大きな影響が出るなど、市民生活に混乱を引き起こしたことは記憶に新しいと思います。
しかし、夏の暑い時期に、数時間でも電気が止まるというのは、想像しただけで大変そうですね。
最後に、「電力使用制限令」は、政府が電気事業法27条に基づき、企業などに電力使用量の削減を義務付けるものです。
削減の期間や幅は発令のたびに決定されます。
故意に違反した場合は、100万円以下の罰金が科されます。
昨年の夏、東京電力と東邦電力管内の大口利用者に前年比15%の節電が課されました。
電力使用制限令は、節電効果は大きいが、企業の経済活動に重大な影響を及ぼす恐れがあります。
また、企業の海外流出なども懸念されます。
とはいっても、原発が稼働しない中で、きちんと精査したうえで、それでも電力が不足する場合には、「計画停電」や「電力使用制限令」の発動はやむをえない面があると思います。
ただ、その場合でも、病院や鉄道などのライフラインへの配慮や計画停電の場合は対象地域、時間帯などを十分に配慮するとともに、弱者にも目配りをしたきめ細かな措置を検討し、市民生活や経済活動への悪影響を最小限度に押さえる努力をすることが不可欠ではないでしょうか。
今年の夏が例年よりも涼しければ本当にいいですね。