生活保護法改正案について

先日、国会で審議中の生活保護法改正案について、自民、民主、公明の3党が、受給申請する際に収入や資産などを記した書類の提出を義務づけた規定を修正し、口頭での申請も認めることで合意する見通しとなったという報道がありました。

 

では、今回の生活保護法の改正案はどのようなものか見てみましょう。

 

まず、生活保護を受ける人への支援策として「就労自立給付金」が新設されます。

生活保護を受けている人が仕事をして収入を得た際、そのお金を積み立てることができる制度です。

そして、この積み立てたお金は、生活保護から抜ける際に一定額が給付されます。

 

また、仕事を失った生活困窮者に家賃分のお金を支給したり、生活に困る人の自立を支援する事業を役所に義務づけたりします。

最近問題になっている「貧困の連鎖」を防ぐため、生活保護家庭の子どもへの学習支援も法案に盛り込んでいます。

 

一方で、生活保護の不正受給への批判が強まっていることを受け、生活保護法改正案には「引き締め策」が多く盛り込まれました。

例えば、不正受給の罰金はこれまでの「30万円以下」から「100万円以下」に引き上げられます。また、自治体が不正受給の額に4割まで上乗せして返還を請求できるようになります。

 

次に、親族の扶養義務も強化されます。

改正案では、生活保護を申請した人を扶養する義務を持っている親族が応じない場合には、親族の収入や資産について自治体が報告を求めることができるようになります。

 

このため親族に迷惑がかかることを心配して申請しない人が増える恐れがあるとも言われています。

 

 

また、当初の改正案では、申請者の資産や収入の状況などを申請書に記入し、書類を提出する必要があるとされていました。

これに対しては、生活に困った人がそうした書類を揃えるのは大変であり、いわゆる「水際作戦」が合法化されると懸念する声が上がっていました。

水際作戦とは、福祉事務所の相談窓口で申請者を体よく追い返して申請できなくする行為を批判的に呼ぶ表現です。

 

これについては、野党の批判を受けて、申請後の書類提出も認めるようにし、さらに「書類を作成することができない特段の事情がある時は、この限りではない」との一文を加える方向で修正し、合意される見通しです。

 

私は、今回の改正案には基本的には賛成です。

ただ、本来、生活保護を受けられる地位にある方が、生活保護の申請がすることが難しくなるようなことにはならないように留意すべきだと思います。

 

皆さんは、今回の改正案についてはどのように考えられますか。