文科大臣による大学の不認可決定!

新聞などにおいて、田中文部科学相が、文科省の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」が2013年度の開校を認可する答申を行った大学3校について、不認可としたことが大きな問題となっています。

 

田中文科大臣は、大学の質の低下が進んでいるため、大学設置の認可を審査する審議会制度を抜本的に見直すとし、「見直しを行う間は、大学の新設を認めない」と述べています。

 

文科省によると、審議会の認可を大臣が覆すのは、過去30年では初めてのことで、これにより、この3校は来春の開校ができない見通しになりました。

 

今日は、この問題について少し考えてみたいと思います。

 

確かに、「大学設置・学校法人審議会」は諮問機関にすぎないため、文科大臣はその意見に法的には拘束されませんし、大学の設置認可などについては、文科省の広い裁量が一般的には認められると思います。

 

 

しかしながら、他方で、学校教育法上、大学の設置認可については同審議会に諮問する旨が定められており、全く合理的な理由ないにもかかわらず、文科大臣が審議会の答申を覆して不認可処分とした場合には、その不認可処分は裁量権の逸脱濫用となり、違法と評価される場合もあると思われます。

 

そして、今回のケースでは、新聞報道を見る限り、田中文科大臣が当該3大学を不認可とした合理的な理由はなく、パフォーマンスと言われても仕方がないように思います。

 

 

この場合に、大学が、文科大臣の不認可処分の取消訴訟を提起した場合、裁判所により、不認可処分が取り消される可能性があると思います。

 

また、不認可処分により大学の開校ができなくなったことにより、大学が経済的な損害を蒙った場合には、大学から国に対して国家賠償法による損害賠償請求が行われることも考えられます。

 

いずれにしても、田中大臣は不認可とした理由をきっちりと説明すべきであるとともに、合理的な理由がない場合は、その不認可処分を撤回し、認可処分をすべきであると思われます。

 

 

自治体関係の方で、行政訴訟や住民訴訟などについて悩まれている場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。