婚外子の相続に関する最高裁決定について

先日、結婚していない男女間の子(婚外子)の遺産相続分を結婚した夫婦の子の半分とした民法の規定について、最高裁大法廷は決定で、「法の下の平等」を保障した憲法14条に違反し、違憲・無効とする初判断を行いました。

 

今回の決定はまず、「立法府の裁量権を考慮しても、相続格差に合理的な理由がなければ違憲となる」との判断基準を示しました。

 

その上で、婚外子の出生数が増え、家族形態も多様化し、国民の意識も変化したと指摘。欧米諸国に格差規定を設けている国はなく、国連などから再三、格差是正を勧告されてきた経緯も踏まえ、「家族の中で子を個人として尊重すべきという考えが確立されてきた」と述べています。

 

そして、決定は「父母が結婚していないという、子どもにとって選択の余地がないことを理由に不利益を及ぼすことは許されない」と指摘。遅くとも今回の裁判の対象となった相続が始まった2001年7月の時点では、規定の合理的根拠は失われており、違憲だと結論づけました。

 

最高裁の大法廷が法律の規定を違憲とするのは戦後9例目で、民法については初めてです。

 

また、1995年の大法廷決定では「法律婚の尊重と、婚外子の保護の目的があり、著しく不合理とは言えない」として規定を合憲としており、今回の決定はそれを覆すものです。

ただ、過去に決着済みの相続には、今回の判断は適用されないとします。

 

この裁判の決定を受け、政府は婚外子の相続分を定めた規定を削除する民法改正案を秋の臨時国会にも提出する方針を固めたようです。

 

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