原子力発電所の全面停止

国内で唯一稼働していた北海道電力泊原発3号機が5日夜、定期検査のため停止しました。

この泊原発3号機の停止により、国内に50基ある全ての原子力発電所が停止することとなりました。

国内の原子力発電所が全て停止するのは、原子力発電所が2基だけだった1970年以来、42年ぶりらしいです。

 

原子力発電所の再稼働をめぐって、政府はまず、福井県の関西電力大飯原発の再稼働に向け、周辺自治体への説明を続けているが、安全性への不安から、めどは立っていません。

 

この原子力発電所の再稼働については、原子力発電所の安全性が最大の問題となっています。

今日は、原子力発電所の是非ではなく、 法的な面からみた原子力発電所にどこまでの安全性を求めるべきかということについて考えてみたいと思います。

 

皆さんは、原子力発電所の安全性という場合に、一体どのレベルまでの安全性を求めているのでしょうか。

一般に、安全性という場合に、どのレベルまでの安全性を求めるかという問題があり、その場合のレベルとしては、「絶対的安全性」と「相対的安全性」があるとされています。

 

まず、「絶対的安全性」とは、絶対的に災害発生の危険性が全くないことであり、この安全性が認められない限り利用することはできないという考え方です。

 

これに対して、「相対的安全性」とは、科学技術を利用した各種の機械、装置等(例えば、自動車、飛行機、鉄道、船等の交通機関、医薬品、電気器具、ガス器具、レントゲン等の医療用の放射線利用等)については、常に何らかの程度の事故発生等の危険性を伴っていることを前提とします。

そのうえで、その危険性が社会通念上容認できると考えられる場合、又は、その危険性の相当程度が人間によって管理できると考えられるのであれは、これを一応安全なものとして利用するという考え方です。

 

原子力発電所の場合に、一度、災害や事故が起こった場合には、多数の人命が失われるなど甚大な被害が生じる危険性がある以上、「絶対的な安全性」を求めるべきだという考え方も十分にあると思います。

そして、原子力発電所の反対の運動をしている方の多くは、この考え方に立つものと思われます。

 

ただ、恐らく、この考え方に立てば、原子力発電所について災害や事故の可能性をゼロと断言することは誰もできないでしょう。

したがって、政府にこの「絶対的安全性」の確保を求めるのであれば、不可能を求めるものであり、原子力発電所の再稼働は永遠にできないと思います。

 

この考え方に対して、原子力発電所については、「相対的安全性」で足りると考えた場合には、今の政府の安全基準や説明でこれを満たしているのかというのが、問題になると思います。

 

「相対的安全性」の考え方に立った場合には、原子力発電所について、絶対的に災害発生の危険がないという「絶対的安全性」は想定できないとしても、放射線、放射性物質の環境への排出を可及的に少なくし、これによる災害発生の危険性を社会通念上無視し得る程度に小さなものに保つことが求められると思います。

 

しかしながら、私は、現時点では、政府の説明を聞いた限りでは、津波対策や免震棟の設置の問題など、この「相対的安全性」のレベルを満たしているとは到底言えないように思います。

 

むしろ、政府は、電力不足や産業への影響を懸念して、原発の事故発生の危険性の程度と原発の利用により得られる利益の大きさとの比較衝量して、上記の「相対的安全性」のレベルを下げて、再稼働しようとしているようにしか思えません。

 

しかし、原子力発電所で一旦事故が発生した場合の生命・身体、財産への甚大な被害を考えると、原子力発電所の利用により得られる利益がいかに大きなものであったとしても、その安全性のレベルを下げることは許されるべきではないと思います。

 

私は、個人的な見解ですが、少なくても、この「相対的安全性」のレベルの安全性が確保されない限り、原子力発電所の再稼働はすべきではないと思います。

 

皆さんは、原子力発電所の安全性についてどう考えますか?