東京都の尖閣諸島の購入

東京都の石原知事が尖閣諸島を東京都が購入すると記者会見で発表しました。

個人所有よりも、公的機関が所有する方が安定するということでは、個人的には賛成する部分もあります。ただ、領土問題もからむ日中の政治的な問題を考えた場合には様々な議論があると思います。

 

ここでは、政治的な問題はさておき、少し東京都という自治体が土地を購入するということの法的な問題について考えてみたいと思います。

地方自治体が土地を取得する場合には、条例で定める一定額を超える場合には、地方自治法96条1項8号により、地方議会の議決を経る必要があります。

今回の場合、その取得額はまだわかりませんが、恐らく東京都が尖閣諸島を購入するためには東京都議会の議決が必要となると思います。

そこでは、取得額だけではなく、東京都が尖閣諸島を購入する目的や必要性が議論されることとなり、これが大きなハードルになると思います。

国ではなく、東京都という一地方自治体がなぜ沖縄県の尖閣諸島を東京都民の税金で購入する必要があるのかというのは、議論が別れるのではないでしょうか。

 

また、仮に議会の議決を経て、所有者と土地売買契約を締結する場合には、恐らく、東京都の尖閣諸島の購入は違法な財務会計上の行為であるとして、地方自治法242条による監査委員に対する住民監査請求や同法242条の2による住民訴訟(公金の支出の差し止め)が提起されると考えられます。

住民監査請求や住民訴訟は、東京都の住民であれば、誰でも国籍に関係なく提起することができますので、今回、東京都が尖閣諸島を購入しようとする場合には、間違いなくこれらが提起されると思われます。

そうすると、この問題は最終的には裁判所において、東京都が都民の税金で尖閣諸島を購入することが法的にみて許されるのかということが判断されることになるでしょう。

 

その場合には、結論の予想は難しいですが、法的に考えると、東京都が沖縄県の尖閣諸島を購入する必要性があると裁判で主張立証することは相当難しいと思います。

石原氏という政治家としての行動は共鳴・理解できますが、東京都知事として都民の税金で購入するとなると法的にはいろいろと難しい問題があると思います。

 

やはり、東京都は自ら購入するのではなく、国が購入する仲立ちをするとか、都民の税金ではなく、全国からの寄付金で購入し、そのうえで、その土地を国または沖縄県、石垣市に寄付するとかという仕組みを考える方がベターではないでしょうか。

 

皆さん、どう思いますか?