労働契約法の改正案成立!!

現在、契約社員などの非正規労働者で雇用期間に限りのある人は、厚生労働省の推計でおよそ1200万人と、働く人の5人に1人を超えています。

しかし、今の労働契約法では、契約を更新するかどうかは企業の判断に委ねられているため、契約が突然打ち切られるケースがあり、雇用の安定をどう図るかが課題となっています。

 

そこで、契約社員など雇用期間に限りのある人の雇用の安定を図るため、5年を超えて働いた非正規労働者が希望すれば、企業は期限のない雇用契約に切り替えなければならないとする労働契約法の改正案が参議院本会議で可決され、成立しました。

 

今回の労働契約法改正案のポイントは、次の3点です。

(1)同じ事業主による有期雇用が五年を超える場合、労働者側の申し込みで無期雇用になること

(2)契約を反復更新し、無期契約と実質的に変わらない有期労働者などは、合理的な理由がなければ雇い止めできないとすることを初めて法律で明文化したこと

(3)有期と無期労働者との待遇に不合理な格差を設けてはならないこと

 

少し、具体的に見てみましょう。

まず、法律が施行された時点で、既に有期雇用で五年を超えて同じ事業所などで働いている人は、申し込みで無期雇用になるのでしょうか。

 

この点は、法律では、施行後から有期の年数を計算することになり、施行前の勤続年数は対象になりません。

つまり、無期雇用への転換は施行後、五年を経過しなければなりません。

また、申し込みをしなければ無期雇用への転換は実現しません。

 

次に、無期に転換する場合の労働条件はどうなるのでしょうか。

有期契約と同一でよいとされました。

通常、有期雇用の労働条件は、無期より劣っていると考えられます。さらに別段の定めで労働条件の切り下げの可能性もあります。

これは、法案が不安定雇用の有期から、無期への転換に主眼を置いたためです。

 

しかし、新たな制度では、原則として六カ月以上、同一の労働者と企業が契約をしない「クーリング期間」を置くと、それまでの有期雇用期間が通算契約期間に入らない制度も設けました。

これにより、通算五年を超える有期契約前に、クーリング期間を設ける企業が出るのではないかとの懸念も出ています。

 

なお、改正法は、来年春をめどに施行される見通しですが、法案では施行から八年後に内容を見直す予定です。

 

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