住民訴訟と議会による債権放棄について(再論)

4月にこのブログでも紹介したように、最高裁で、神戸市の住民訴訟に関連して4号訴訟の長の賠償責任と債権放棄について判決がありました。

そして,28日にこの最高裁判決により差し戻しされた神戸市住民訴訟について大阪高裁において,債権放棄を認める判決がありました。

 

今回の高裁判決は、最高裁判決では議会の裁量を広く認める一方で、議会の債権放棄について一定の基準が示されましたが,それと同様の内容と思われます。

 

 

これに関連しては,先日のブログでも書いたように、私は,この問題については最終的には立法(地方自治法の改正)により解決が図られるべきだと思います。

 

今日は、住民訴訟による長の賠償責任について、議会が政権放棄をする場合を規定したその立法の方向について提案したいと思います。

 

この場合には、会社法や公益法人法の規定が参考になるとともに、重要なことは、手続きの公正さと責任の度合いに応じた妥当な範囲での賠償責任ということだと思います。

 

具体的には、以下のような案はどうでしょうか?

1 手続き規定

長に対する債権の放棄の議案を議会に提出する際には、あらかじめ監査委員の意見を聴き、その意見を議会に提出するとともに、①責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額、②責任を免除すべき理由及び免除額、③責任を免除することにより当該地方公共団体に与える影響及びその程度について議会に対して開示説明しなければならない。

 

2 長の賠償責任の免除の範囲に関する規定

賠償責任の原因となった行為について、長に軽過失しかない場合には、全部又は一部の免除が許されるが、長に故意又は重過失がある場合には、原則として一部の免除も許されない。

ただし、やむをえない理由があると認められる場合に限り、年収の2倍にあたる額を限度として、一部免除が許される。

 

そして、この場合の裁判所の審査は、長の軽過失の場合、議会による債権放棄にあたっての手続的要件を満たしているか、議会における審議及び判断の過程に看過しがたい過誤や欠落があるかという点を中心に行われ、性質上、その範囲にとどまる。

他方で、故意又は重過失の場合には、議会の審議過程や手続面にとどまらず、客観的にみてやむを得ない事情が認められるかという実体面の判断まで及ぶ。

 

以上、どうでしょうか。

皆さんはどのようにお考えになりますか?