職場のパワハラ

先日の新聞などで、全国の労働局に寄せられた職場でのいじめや嫌がらせ、いわゆる「パワハラ」の相談は、昨年度およそ4万6000件に上り、これまでで最も多くなったという報道がありました。

 

これは、前の年に比べて6500件余り、率にして17%増えて、これまでで最も多くなり、これは統計を取り始めた9年前のおよそ7倍にも達するとのことです。

 

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。

 

パワハラには、具体的には、次の6つの種類があります。

1 暴行など「身体的な攻撃」

2 暴言など「精神的な攻撃」

3 無視など「人間関係からの切り離し」

4 実行不可能な仕事の強制など「過大な要求」

5 能力とかけ離れた難易度の低い仕事を命じるなど「過小な要求」

6 私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」

 

パワハラの相談が過去最多となったことについて、厚生労働省は「景気の低迷などで企業に人材を育成する余裕がなくなり、職場でのコミュニケーションが取りづらくなっているほか、かつては指導だと理解されたことをパワハラだと受け止める人が増えたのではないか」と分析しています。

 

しかし、パワハラの被害者がうつ病などの精神疾患に罹って職場を休んだ場合には、本人だけでなく、企業にとっても人材面で大きな損失となります。

また、他の従業員の士気の低下、会社の業績悪化や社会的信用の低下といった問題も生じることになります。

 

さらに、パワハラを放置した場合には、加害者だけでなく、企業自体が労働者から使用者責任や安全配慮義務違反で損害賠償請求をされる可能性があるなどの法的なリスクもあります。

 

職場でのパワハラについては、「業務上の指導との線引きが難しい」といった指摘もありますが、一緒に働いている人たちが全て人格を持った人間なんだと、そういった意識をちゃんと持つことが重要だと思います。

 

また、労働者からパワハラの相談があった場合には、企業は真摯に対応をすることが必要です。

 

パワハラなど労働問題でお悩みの方は、どうぞ当事務所までお気軽にご相談ください。