公訴時効について

先日、オウムの特別指名手配の高橋克也は逮捕されました。

これで、菊池直子、平田信も逮捕されていますので、オウムの特別指名手配の犯人は全て逮捕されたことになります。

 

オウム事件は、阪神淡路大震災のあった1995年ですから約17年間も逃亡していたということになります。

高橋克也は地下鉄サリン事件の殺人のほか、逮捕監禁致死罪などで指名手配されていました。

では、高橋克也の公訴時効はどうなっていたのでしょうか?

 

公訴時効とは、公訴時効とは、犯罪が行われたとしても、法律の定める期間が経過すれば、犯人を処罰することができなくなるものです。

例えば、殺人罪の公訴時効期間は、地下鉄サリン事件当時の法律では15年とされていましたので、たとえ凶悪な殺人犯であっても、15年間逃げ切れば、処罰されることはありませんでした。

 

高橋克也の場合、1995年(平成7年)の地下鉄サリン事件の犯行時は殺人罪・殺人未遂罪の公訴時効は15年であったため、一見、公訴時効が成立するようにも思えます。

ただ、刑事訴訟法254条2項では、「共犯者の一人に対する公訴の提起による時効の停止は他の共犯に対してその効力を有する。」と規定されており、地下鉄サリン事件では高橋克也の共犯者であるオウム信者の公判が約16年行われていたため、高橋克也の時効はずっと停止していました。

 

また、平成22年に「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律」(平成22年法律第26号)が成立し、同日公布され、殺人罪など人を死亡させた犯罪であって死刑に当たるものについて公訴時効が廃止されるなどの改正が行われました。

したがって、高橋克也については、現時点では、公訴時効が成立する余地はなくなっています。

 

いずれにしても、高橋克也のような凶悪事件の犯人は、きちんと裁かれ、罪を償うべきだと思います。