胃潰瘍と労災について

胃潰瘍

 先日、長時間労働により、出血性胃潰瘍を発症し、それが原因で死亡した男性について、労働基準監督署が労災と認定したという新聞報道がありました。

 男性は、62歳で、電気設備工事会社を定年退職後に再雇用され、放送局の建設現場の責任者として勤務していたところ、自宅で出血性胃潰瘍を発症し死亡したということです。

 死亡前日までの1カ月間の時間外労働は約120時間に上っていたということです。

 この点、厚生労働省では、脳・心臓疾患と精神障害・自殺については認定基準を設けているが、消化器系疾患については定めていません。

 他方で、長時間労働によるストレスや過労が胃潰瘍などの病気の原因になるということは、医学的には明らかであるといえると思います。

 ただ、これまでは、消化器系疾患については、明確な基準もないため、労災認定が見込めないと判断した労働者本人や遺族が申請を見送るケースも多くあったのではないでしょうか。

 そうした中では、長時間労働と胃潰瘍との因果関係を認めて、労災として認定したというのは注目されます。

 長時間労働による労災認定で、お悩みの方はどうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

この記事を書いた人:津田和之弁護士

photo神戸山手法律事務所で弁護士に従事する傍ら、関西学院大学 大学院司法研究科教授も務める。また、役職として、加古川市コンプライアンス法務アドバイザー (2013年4月~)、西宮市法務アドバイザー (2015年4月~)、兵庫県児童虐待対応専門アドバイザー (2012年6月~)、加古川市審理員 (2016年4月~)、稲美町審理員(2018年5月~)、三田市オンブズパーソン (2020年4月~)